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韓国の高齢化率「日本抜き」20年早まる。親日派排除の“独善”政治で経済崩壊へ=勝又壽良

独善主義が国を滅ぼす

文政権は、この正義論を振りかざして反対派の論拠を無視して来た。

例えば、最低賃金の大幅引き上げがその1つである。貧困階級の最低賃金の大幅引き上げが、個人消費を増やして韓国経済の成長率を押し上げるという理屈に酔ってきた。だが、生産性上昇という大事な要素を忘れた議論で、かえって失業率を増やして貧困階級にさらなる負担を押し付ける結果になった。

これに対する国民からの批判がないのも不思議である。これによって、個人の負債は一段と増え危機的な状況を迎えている。これについては、後で取り上げる。

原発の廃止も唐突であった。関連業界への影響、大学原子力学科への影響、原発輸出への影響などすべて無関係で始めた。この強引な決定には、福島原発事故を誇大宣伝して、韓国国民に原発恐怖感を与える集団が存在した。これこそ、文政権支持の市民団体である。彼らは、太陽光発電で多額な補助金を得ている受益者である。

韓国は狭い国土で、太陽光発電に最も不向きとされている。平野部分が少ない地勢では、山を切りくずなど環境破壊が進んでいる。韓国のこういう地形的マイナスを強引に押し切って、脱原発が決定された。この矛楯は早くも現れている。韓国電力公社の赤字対策で、インドネシアでの石炭火力発電所建設という「退嬰的政策」を決定したのだ。

韓国政府は7月、韓国電力公社に対してインドネシア・ジャワ9、10号機石炭火力発電所の投資事業を認可した。国際エネルギー機関(IEA)によると、石炭は単一の要素としては、地球温暖化に最も大きな影響を与える。気候危機を克服するために最初に退出すべきエネルギー源とされている。

脱原発を実施している韓国政府が、他国では石炭火力発電所を建設させる。何と矛楯した話か。

韓国の出生率は世界最低記録を更新中

文政権による経済合理性を無視した経済政策の結果、韓国経済の潜在成長力は予想を上回るスピードで減速するはずである。

具体的には、人口動態にそれが現れているからだ。数ある経済統計の中で、唯一信頼できるのは人口動態統計とされている。極論すれば、この統計さえ抑えておけば、その国の将来は手に取るように分かるのだ。

その意味で、中国経済と韓国経済の急速な衰退は不可避である。中国は一人っ子政策の余波である。韓国は文政権による悪政である。最低賃金の大幅引き上げと、住宅価格抑制の失敗である。いずれも、市場実勢を無視した強引な政府介入である。無知識ゆえに、良かれと思ってやっている政策が、逆効果を引き起したもの。住宅政策では、政府の介入が先高予想を強める結果となった。

韓国の2019年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に生む子ども数)は、「0.92」と世界最低である。18年が「0.98」であったから、最低記録の更新である。一国の人口が横ばいを維持するには、「2.08」が必要である。韓国は、猛スピードで「国家消滅」に向かって突進している形だ。皮肉な見方をすれば、北朝鮮との統合で人口減を食い止めようという狙いかも知れない。それほど、文政権には危機感がないのだ。

韓国は、合計特殊出生率の世界最低記録更新を続けている。この背景に何があるのか。過去の例では、失業率の高まる後の合計特殊出生率低下が分かっている。失業していたのでは、結婚も出産も不可能であるからだ。最近の研究では、教育費と住居費の上昇も問題点として指摘されている。

小・中・高校生1人当たり月平均私教育費は2018年29万1,000ウォン(約2万5,900円)から昨年32万1,000ウォン(約2万8,600円)に増えた。住宅価格が、上昇するほど出生率に否定的な影響を及ぼすという研究結果も公開された。住居価格と出生率の相関関係を調べたものによると、住居価格が高い地方自治体ほど出産率が低かったという。これは、家計が多額の住宅ローンを抱えている当然の現象である。住宅ローン返済が優先されて、出産の経済的ゆとりがなくなるからだ。

Next: 韓国民間債務が危機。韓国の民間信用(家計と企業の貸出および債権)は――

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