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キヤノン株価急落は買い?33年ぶり減配、日本が誇るグローバル優良企業に何が起きたのか=栫井駿介

減益は「時代の流れ」か

では、この減益の要因は何なのかということを改めて考えてみたいと思います。

これがキヤノンの事業構成です。

オフィスつまりオフィス用複合機など47%、それからイメージングシステムこれがデジタルカメラで23%。

メディカルシステムは東芝から買収したMRIなどのことで、これが全体の12%、それから産業機器、フラットパネルディスプレイと呼ばれる超精密機械が21%ということになっています。

今回の新型コロナショックで皆さんそもそもオフィスに行かなくなったので、オフィス事業がかなり厳しい状況になってしまったということがあります。

また、イメージングシステムについてもなかなか外出やお出かけしないと、カメラを使う機会がないのでカメラも厳しいということになりました。

産業機器についても工場が動かないということになると、こういった物が必要なくなってしまうのでこれもダメになり、軒並み厳しい状況に陥ってしまいました。

それがこの今期の業績発表になります。

このオフィス、イメージング、それから産業機器、いずれも大幅減益や赤字という結果になっています。

これは新型コロナの一時的な影響なのかなと思ってしまいがちですが、実はそうでもありません。

先程見ました通り、業績は見事に右肩下がりになっています。

コロナ禍がなくとも厳しい状況にあった

改めて事業に戻りますとオフィスというのが、例えば皆さんも営業の現場などでは紙はあまり使わずにタブレットでやって、そのままサインをして取引をするなんてことも珍しくなくなってきたので、紙の需要というのも明らかに少なくなってきています。

またデジカメについてもみんなスマホで撮るようになったので、このイメージングシステム、デジカメの需要というのもやはり下がってきています。

キヤノンは素晴らしい技術、素晴らしい商品を持ってはいますが、もはや持っている産業自体が衰退産業にあった、つまり新型コロナがなくとも厳しい状況にあったことはは間違いありません。

このことから減配は避けられなかったということが考えられるわけです。

さらにこの新型コロナショックを受けて在宅勤務が進むようになると、紙はもはや使い物にならなくなってしまいます。

そもそも紙などなくてもデジタルでやった方が、管理の都合や、地球環境に優しいという点でも良いわけです。

なので、もはやこれは時代の流れを加速させただけという形ではないかと思います。

Next: もちろんキヤノンもこれをぼーっと眺めていたのではありません――

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