キヤノンの株価は「まだ妥当」、割安とは言えない
さて、現在の株価を見ますと、これは8月5日時点ですが、1,780円ということで先程お示しした1,700から2,250円の範囲内に収まっています。
つまり、これを見る限りキヤノンはまだ妥当な株価の範囲内にあるということが私としては考えられるわけです。
言い換えると、まだ割安とは言えないということです。
急落こそしましたが、そもそも事業の衰退ということを考えると、もはやこれぐらいの価値が妥当だったと思われますし、むしろ3,000円ぐらいあった株価というのは景気の流れだとか、あるいは配当に支えられていた部分が少なくないんではないかと思います。
逆にこの急落を受けて買うかというと、それに至るほど割安でもないわけです。
そもそも成長性に限界があるので持っていたところで、多少はもちろん回復するかもしれませんが、上限としてもせいぜい2,500円から3,000円程度ということで、必ずしも有利なものではないでしょう。むしろ新型コロナでこの業績の劣化が加速してしまうとするならば、ますます厳しい状況になってもおかしくないというリスクをはらんでいます。
買うほど割安でもなく、持ち続ける旨みもない
結論としては、今はまだ割安な水準とは言えないので、今が買いのタイミングとは言えませんし、また持ち続けるにしてもあまり大きな利益は望めないものになるのではないかと思います。
配当が減ってしまったので、さらに持ち続ける理由というのもなくなってしまいました。
正直、この銘柄を持っていることはあまり良い期待値を持つものではないと考えます。決してそこまで悪い銘柄だとは言えませんが、少なくとも今が買いだというタイミングでもないと思います。
もっと成長性の期待できる銘柄、あるいは割安さを求めるにしてももっと株価が下がった時に投資するという投資行動が有利なのではないかと私は考えます。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年8月2日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。