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韓国文政権「金正恩への片思い」で四面楚歌。南北統一で北に飲まれる=勝又壽良

金正恩は韓国を信用しない

北朝鮮が、韓国を信用していない理由として、次のような見方がある。『朝鮮日報』(10月18日付)で、マイケル・ブリーン元ソウル外信記者クラブ会長が寄稿した一節である。

「韓国がほほえみかけてくるのはウソだと北朝鮮が思っているのは、韓国の政治が見せたあくどさのためだ。北朝鮮は、おそらく文在寅大統領も退任から2~3年以内には刑務所に行くと考えていることだろう。今までそうだったからだ。激怒する人々の気持ちを断頭台とみなし、ささいな口実で元大統領を刑務所に送ってきたのが韓国政治史だ。ならば金正恩委員長と北朝鮮の支配勢力が統一後、自分たちは安全だと信じることができるだろうか。免責特権をやると約束しても彼らを説得できないだろう」

韓国では、反対派の大統領によって前大統領を裁判に掛ける悪弊がある。文在寅氏は、李明博元大統領と朴槿惠前大統領を刑務所に送った。文氏も、次期政権が野党になれば刑務所送りとなろう。それに匹敵する罪科は山ほどあるからだ。

韓国政治のこういうあくどさは、北朝鮮の金正恩氏から見れば身震いするほど危険な政治システムであろう。

北朝鮮が韓国を丸飲みする?

北朝鮮は、金ファミリーの安全確保第一を目的に、北が南(韓国)を吸収する形の南北統一しか興味はないだろう。

小である北朝鮮が、大である韓国を飲み込む方法は1つしかない。韓国を騙して武装解除させることだ。すでに、韓国軍は北朝鮮を主敵と位置づけていないのだ。これが第一歩である。

次は、韓国軍の統帥権を韓国軍に取り戻させる工作である。文大統領はすでにまんまとこの策略に乗せられている。韓国軍が統帥権を取り戻せば、巨大な在韓米軍は統帥権を手放している以上、韓国軍の指揮に従わざるを得ない。韓国軍が、出動命令を出さなければ在韓米軍は動けないのだ。軍隊の指揮権は、絶対的な存在である。

韓国軍が統帥権を取り戻せば、韓国は在韓米軍の存在は怖くなくなる。北朝鮮軍と共謀できる可能性が強まるのだ。そこで、北朝鮮軍が38度線を突破しても韓国軍の抵抗は形だけ。すぐに南北は軍事交渉を始め、韓国が「人命尊重第一」を名目に降伏するという形を取るだろう。

この仮想をより現実化させたのが、北朝鮮のICBM開発である。

北朝鮮は、すでに核を保有している以上、韓国に小型核爆弾を投下して韓国軍の抵抗意欲を奪う。さらに、ICBMで、米国本土を狙うと威嚇すれば、米国もやむなく韓国領の北朝鮮占領を容認せざるを得ないという「ストーリー」が生まれている。それを紹介したい。

『中央日報』(10月15日付)は、「金正恩委員長『新型ICBM』火星16で自信、高まる韓半島戦争リスク」と題する記事を掲載した。

「北朝鮮がペクリョン島や金浦(キンポ)、江原道(カンウォンド)など前方地域に小型核弾頭を投下した後、米国は韓国を支援するなと警告する可能性がある。米国が韓国を防御するために核の傘を稼働すれば、ニューヨークとワシントンにICBMが飛ぶという脅迫だ。同時に、北朝鮮は韓国に降伏を要求する可能性もある。このような危機に米大統領がニューヨークとワシントンを犠牲にしながらも韓国を守るかどうかは疑問だ」

この想定は、極めて希有なケースであろう。前提条件としては、韓国が統帥権を握っており、在韓米軍の出動命令を出させない。また、北朝鮮と韓国が、事前に共謀しているという枠組がなければ、こういう「構図」を描けるはずがない。

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