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ブラック企業が社員を退職に追い込む3つの方法。コロナ下のリストラ手口とは?=新田龍

退職勧奨という抜け道

辞めさせたい従業員に積極的に自己都合退職に追いやる手法のひとつが、人道的に容認されるものではないが、実際に存在し、かつしばしば報道される「追い出し部屋」である。

業績悪化した大手企業の事例が採り上げられることが多いが、ニュースにならない中小企業でも数多く存在していると言われる。

その手法は、会社が募集する希望退職に応じない従業員や、戦力外のリストラ対象となった従業員を、単純労働を強いたり、自分自身の出向先や転籍先を探すことを仕事としたりするような部署に異動させ、自主退職せざるを得ないように仕向けるというものである。

表向きは単なる「部署異動」であるから、会社としては「人事権を行使しただけ」と説明できるし、法的にも認められることだ。

労働者側は裁判で対抗できる

ただし、追い出し部屋行きを命じられた従業員側が不服として裁判になった場合、その目的に問題があったり、労働者に大きな不利益があったりすると、権利の濫用として無効になるケースがある。

実際、経営悪化した某大手電機メーカーにおいて100人規模の追い出し部屋への配転命令が東京地裁の判決で無効となったことがあった。その際は、部署毎の人員削減人数を機械的にはじき出したことや、リストラ対象を選ぶ基準が不透明だったこと、対象者のキャリアや年齢に配慮しなかったことなどが問題視された。

「違法性はない」と判断されるケースも

一方、同じ東京地裁において、リストラで「退職を執拗に迫られた」として社員が勤務先を訴えた裁判があったが、「違法性はない」と判断されたケースがある。

では、何が裁判官を納得させたのか。その違いは、「適正に下された低評価」をもとにおこなわれたことにあった。すなわち、然るべき評価制度がもともと設けられていて、その評価の結果として「キミは業績が悪いから、勧奨の対象になっているんだよ」と告げる形式であったことだ。

さらに、あからさまに「辞めろ!」と迫るような扱いをするのではなく、「今辞めると、これだけのメリットがあるよ」「そのほうがあなたのためになるよ」という具合に、「納得づくで退職を促す」というスタンスだったことも特徴だ。

Next: 外資系企業は用意周到。裁判でも負けない方法でクビを切る

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