11日、TOPIXは2%超下落したにもかかわらず日銀はETFを買うことはなく、日経平均はあっさり1,000円近い下落となりました。翌12日も461円安となりましたが、日銀はETF買いを見送っている状況です。日銀の買いの条件が不鮮明となり、ハシゴを外された個人投資家はパニック売りを加速させています。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年5月13日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
ETFを買わない日銀のおかげで本邦の株式相場はパニック状態突入か
皆様ご存じのとおり、日銀は11日にTOPIXが2%超下落したにも関わらず、結局ETFを買うことはなく、日経平均はあっさり1,000円近い下落を演じることなりました。
明けた12日も寄り付きこそ200円近い上昇となりましたが、その後はまた大きく下落する展開となり、終値は461円安となりました。もちろんこの日も日銀はETF買いを見送っている状況です。
SQを控えた週は上下動が大きくなるのな世の常ですが、これだけ下げても日銀がETF買いをしなかったのは実に2016年以来2回目のこと。
大きな宗旨替えが起きているのではないかと、市場参加者は気が気ではないようです。
日銀はこれまでも別に、どれだけ下げたら買い向かうと宣言していたわけではありません。しかし、一定の下落で常にETF買いに入っていた過去の常態的な買い支えを、パブロフの犬のように当たり前に織り込んで待っていた向きにとっては、押し目買いの動機を著しく疎外することは間違いない様子。
果たしてここから日銀がどう対応していくことになるのかに、大きな関心が集まっています。
先月まで日銀の買い条件はかなり鮮明だったが…
先月までは日銀がTOPIXの下落で買い入れを行わない状況というのは、2月24日の0.89%が最大であったことは市場参加者のほぼすべてが知っている事実。
しかし、4月からの買い入れ方針変更にともなって、1%以上の下落が出ても日銀が何もしないとなれば、それ自体が相場暴落の引き金になりかねない重要な材料となりつつあることを強く感じさせられます。
まあ、いつかはこうしたロクでもない状況が示現するのではないかと想定していました。
中央銀行がETFを買い入れすることが未来永劫に続けば、もはや資本主義市場ではなくなり、旧ソ連の計画経済のような状況に陥ることは時間の問題です。
仕方ないといえば仕方ありませんが、足もとのような隠密テーパリングが始まっているのか、実はすでに出口戦略実施なのかがわからないこの状況に動揺する向きが激増しそうな状況になりつつあります。
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