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米国で大躍進「ラウンドワン」長期投資家は買い?ヘッジファンドが株価3倍を予測…今後の成長戦略とリスクを徹底分析=佐々木悠

アミューズメント施設大手「ラウンドワン<4680>」について深掘りしていきます。足元で業績も株価も絶好調なラウンドワンですが、実は日本国内はもちろんのこと、特にアメリカでの成長が著しいと注目を集めています。海外のヘッジファンドからも「素晴らしい株価の成長を遂げる」と高評価を得ており、その実態と今後の展望について詳しく解説します。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

ヘッジファンドがラウンドワンに熱視線

ラウンドワンが注目されるきっかけの1つは、2025年5月29日に香港のヘッジファンド「オアシス・マネジメント」のセルフィッシャーCEOがラウンドワンに注目していると発言したことでした。オアシス・マネジメントは過去に京セラなどにも投資していた実績があるアクティビストとしても知られています。

セルフィッシャーCEOは、ラウンドワンの創業者であり現社長の杉野氏を「成長の魔術師」と称賛しています。彼がラウンドワンの魅力として挙げているのは、人気アニメのグッズが手に入るUFOキャッチャーやゲームセンターといった日本文化を米国に持ち込んで成功させている点、そして日本食をアメリカで展開する新規事業への期待です。オアシス・マネジメントは、ラウンドワンの株価が約3倍になると見ているとも語っています。この発言が影響し、翌日には株価が一時10%ほど上昇するなど、市場も大きく反応しました。

業績はV字回復、過去最高益を更新中

ラウンドワンの業績を見てみると、2007年からコロナ禍前までは売上が伸びていましたが、長期的に見ると減少傾向にありました。

しかし、コロナ禍での臨時休業や営業停止を経て一時的に赤字に転落したものの、そこからの回復は目覚ましく、売上を大きく伸ばし、営業利益も過去最高を更新し続けています。特に、2023年、2024年、2025年、2026年と非常に順調に成長を続けているのが特徴です。

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この成長の背景には、地域別の店舗戦略が大きく関わっています。日本では店舗数が長期的に減少傾向にある一方で、アメリカでは店舗数を大きく伸ばしているのです。アメリカへの進出は2010年から始まっており、日本での積極的な店舗増加戦略を取らず、その分のリソースをアメリカに投下しています。

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<アメリカ事業の成長ドライバー:アミューズメントと日本IP>

国内とアメリカの事業別売上構成を見ると、共通してアミューズメント部門(UFOキャッチャーやゲームセンター関連)が非常に大きく伸びています。

これは、オアシス・マネジメントのコメントにもあったように、アニメグッズなど日本の人気IPを活用したクレーンゲームがアメリカで大流行しているためです。

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日本ではボウリング、カラオケ、スポッチャなどを含めた「総合アミューズメント施設」というイメージが強いラウンドワンですが、アメリカではアミューズメントの売上が圧倒的に大きく、ボーリングがわずかに続き、スポッチャはほとんどありません。

利益面でもアメリカの成長は顕著です。2017年には約5億円だったアメリカの利益が、2025年には136億円にまで伸びています。日本も倍以上に伸びてはいますが、成長率で考えるとアメリカが牽引役となっていると言えるでしょう。

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アメリカでの成功要因:戦略的な出店と日本流の運営ノウハウ

では、なぜラウンドワンはアメリカでこれほどの成功を収めているのでしょうか?

【早期のアメリカ進出とショッピングモール戦略】
アメリカ進出は2010年からと比較的早く、当初は財務的な制約で加速できなかった時期もありましたが、その後は積極的に店舗を増やしていきました。その際、ラウンドワンが狙ったのは、全米の既存大型ショッピングモール内への「居抜き出店」でした。これにより、ショッピングモールの既存来店客を顧客として取り込み、夜間は大学生を中心とした若年層をターゲットにしました。

【アメリカの地域特性への適応と健全な遊び場の提供】
ショッピングモールへの出店は、単に都会だけでなく、アメリカの「田舎」にも展開することを可能にしました。アメリカの田舎には遊ぶ場所が少なく、若者が不健全な行動に走りがちな地域もある中で、ラウンドワンはゲームセンターやボーリングを通じて「健全な遊びの場」を提供し、地域の若者に受け入れられています。

Next: まだある成功要因。長期投資家にとってラウンドワンは買いか?

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