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トランプ関税も追い風「トヨタ」株は今が買い?長期投資のプロが6つの視点で徹底分析=元村浩之

今回はトヨタ<7203>を解説します。特に最近のネガティブなニュースや、割安感への期待といった側面にも触れながら、トヨタの真の強さ、そしてその未来について深く掘り下げていきます。この記事を読めば、トヨタに対する多くの疑問が解消されることでしょう。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』元村浩之)

プロフィール:元村 浩之(もとむら ひろゆき)
つばめ投資顧問アナリスト。1982年、長崎県生まれ。県立宗像高校、長崎大学工学部卒業。大手スポーツ小売企業入社後、店舗運営業務に従事する傍ら、ビジネスブレークスルー(BBT)大学・大学院にて企業分析スキルを習得。2022年につばめ投資顧問に入社。長期投資を通じて顧客の幸せに資するべく、経済動向、個別銘柄分析、運営サポート業務を行っている。

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トヨタの「すごい」とは何か?その生産方式の秘密

トヨタが「すごい」と称される最大の理由は、トヨタ生産方式にあります。単に車そのものが優れているだけでなく、「どのように車を作っているか」という点にそのすごさがあるのです。

<ジャストインタイム (Just-In-Time) の徹底>

代表的なものとして「ジャストインタイム」が挙げられます。これは、世の中がトヨタの車を必要としている時に必要な分だけ作るという考え方です。この方式により、在庫を極限まで減らすことができ、生産から販売までの期間も短縮されます。結果として、生産販売の効率が最大化され、これをトヨタは全社規模で実現しているのです。

<徹底したコスト削減>

在庫を多く抱えることは、保管費用やオペレーション、さらにはそれを動かす人材といった無駄なコストを生みます。必要なタイミングで部品を調達し、スムーズに生産・販売することで、こうした無駄なコストを徹底的に削減しています。これにより、完成車を製造するまでのコストにおいて、他社よりも圧倒的に効率が良いという強みを持っています。

<競合を凌駕する利益率>

コストの効率性は、最終的に利益率に反映されます。直近のトヨタの営業利益率は10%~12%で推移しています。これに対し、ジェネラルモーターズ (GM) は5%半ば~7%弱、フォードは2%後半~3%台、ホンダは5%半ば~6%程度です。トヨタは売上規模がはるかに大きいにもかかわらず、競合他社よりも高い利益率を維持しており、これは「トヨタ生産方式」による無類の強さの表れと言えるでしょう。トヨタは販売台数で世界一でありながら、利益率も高いという稀有な存在です。

なぜトヨタだけがこれを実現できるのか?

この強さの根底には、日本人特有の「気質」が貢献していると考えられます。日本人は手先が器用で作業が丁寧であり、「次の工程の人のために」という意識や「不良品を出してはいけない」という意識が非常に高いのです。こうした意識のもと、1つ1つの作業工程を「もっと良くできるのではないか」と追求し続けることを長年続けてきました。

さらに、単に人の意識だけでなく、「仕組み化」を徹底した点も重要です。例えば、「かんばん方式」のように、どこで何をどれだけ作るかが誰にでも分かるように工場内部を仕組み化し、作りすぎや作り忘れを防ぐことでミスや過剰生産が発生しにくい環境を築き上げてきました。他社も同様の取り組みを行っていますが、トヨタはこれを最も愚直に積み上げ続けた結果、真似できそうで真似できない圧倒的な強みとノウハウを蓄積したのです。

トヨタのEV戦略:全方位戦略の真意

トヨタのEV(電気自動車)戦略は、一見すると積極的ではないように見えるかもしれませんが、その実態は「全方位戦略」と呼べるものです。

<EVだけに「全ベット」しない現実的アプローチ>

トヨタはEV車だけに全力を注ぐのではなく、ガソリン車はもちろんのこと、ハイブリッド車(プラグインハイブリッド車を含む)、さらには水素車など、あらゆる駆動方式のラインナップを揃えています。これは、世界の駆動エネルギー源がどう転んでも、トヨタが対応できる体制を整えていることを意味します。

この戦略は、一見非効率に見えるかもしれません。しかし、ヨーロッパが一時、現実的な実現可能性を度外視してEV推進を強めたのに対し、トヨタはEVが2035年までに必ずしも普及するとは限らないという現実的な観点を持っていました。EVの技術革新の難しさ、充電時間、航続距離、そして電気を作る段階でのエコ性(カーボンニュートラル)といった課題を当初から想定していたのです。

<ハイブリッド車への確信>

トヨタは、様々な駆動方式を検討した結果、最もエネルギー効率が良いのはハイブリッド車であるという結論に、早い段階で到達していました。グローバルナンバーワンメーカーとしての立場も、「どの道に転んでも生き残る」という全方位戦略を採る大きな要因となっています。

<次世代バッテリーへの投資:全固体電池>

もちろん、トヨタはEVを完全に軽視しているわけではありません。「全固体電池」という革新的なバッテリーの開発に意欲的に取り組んでいます。これは、安全性と航続距離を大きく向上させる可能性を秘めており、将来のEV市場における逆転の切り札となることを期待しています。トヨタは、まさに「抜かりない」戦略で、どんな状況にも対応できるよう準備万端なのです。

Next: トランプ関税も追い風に?トヨタを長期投資家はどう見るべきか

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