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株価底打ち?「オリエンタルランド」いまが買いの好機か。業績好調の要因、長期投資家が注視すべきリスクとは=佐々木悠

2024年以降、新NISAの開始以来低迷が続いていたオリエンタルランド<4661>の株価が、今、底を打ったかのように上昇に転じています。個人投資家の間で人気の高い企業であるだけに、「なぜ今、株価が上がっているのか?」「この上昇は続くのか?」「今から投資しても良いのか?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

今回は、オリエンタルランドの最新の株価動向から、その背景にある業績の要因、さらには中長期的な成長戦略と潜在的なリスクまで、詳細に解説していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』佐々木悠)

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プロフィール:佐々木悠(ささき はるか)
1996年、宮城県生まれ。東北学院高校、東京理科大学経営学部卒業。協同組織金融機関へ入社後、1級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得。前職では投資信託を用いた資産形成提案や多重債務者への債務整理業務に従事。2022年につばめ投資顧問へ入社。

オリエンタルランド株価の現状:低迷からの反転

オリエンタルランドの株価は、2024年の初めに約5,700円を付けて以降、3,000円台を割り込む勢いで下落傾向にありました。長期的には右肩上がりの成長を続けてきた中で、コロナ禍という厳しい局面も乗り越えてきた同社にとって、この下落は注目すべき動きでした。

オリエンタルランド<4661> 月足(SBI証券提供)

オリエンタルランド<4661> 月足(SBI証券提供)

特に2020年以降の下落の背景には、大株主である京成電鉄による株式売却への懸念があったと考えられます。京成電鉄はオリエンタルランド株式の約20%を保有していましたが、現在では18%まで低下しています。京成電鉄の株主からの「オリエンタルランド株を売却し、自社株主に還元せよ」という圧力が、株価下落の一因となっていた可能性があります。

しかし、直近の7月30日に発表された決算を機に、株価は好調に推移し、上昇基調に転じています。

オリエンタルランド<4661> 日足(SBI証券提供)

オリエンタルランド<4661> 日足(SBI証券提供)

<株価上昇の起爆剤となった好決算:過去最高の四半期業績>

足元の株価上昇の最大の理由は、2026年3月期第1四半期(2025年4月~6月)の非常に好調な決算内容にあります。

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出典:オリエンタルランド 決算短信

  • 売上高:前年同期比10%増の1,600億円
  • 営業利益:同16.3%増の387億円

この第1四半期単体で見ると、過去最高の四半期業績を達成しており、市場から非常に高く評価されました。

この好業績が特にサプライズだったのは、会社側が当初発表していた通期連結予想と比較して、著しく良い数字だったためです。通期予想では、売上高がわずか2%増、営業利益に至っては7%減という、増収減益を見込んでいた中で、第1四半期で2桁の増収増益を達成したことが、ポジティブな驚きとして受け止められたのです。

第1四半期業績好調の背景:来園者数増加と顧客単価の向上

第1四半期の好調な業績は、「来園者数」と「顧客単価」の両面からの押し上げが要因となっています。

<好調要因その1.来園者数の増加:ファンタジースプリングスの通期寄与>

来園者数が増加した主な要因は、東京ディズニーシーに新エリア「ファンタジースプリングス」が去年6月6日にオープンし、今期第1四半期では3ヶ月間フルで寄与したことです。前年の同時期は4月と5月にこの新エリアの恩恵がなかったため、今期の来園者数はその分増加しています。

一方で、東京ディズニーランドは一部で苦戦しているようです。

  • スペース・マウンテンの改装工事がマイナス要因となっている。
  • 多くの来園者がディズニーランドからディズニーシーへと流れている可能性が高い。

全体としては来園者数が増加していますが、ディズニーランドとシーで明暗が分かれている状況が見られます。

<好調要因その2. 顧客単価の向上:ディズニー・プレミアアクセスと外国人ゲスト>

オリエンタルランドの業績を語る上で欠かせないのが、顧客単価の継続的な上昇です。近年、ディズニーリゾートの体験価格は確実に上がっていますが、その中心にあるのが以下の施策です。

◆ディズニー・プレミアアクセス(DPA)の導入・拡大

  • パーク内の人気アトラクション(ソアリン、トイ・ストーリー・マニア、タワー・オブ・テラーなど)やショーを、追加料金(1,500円~2,500円)を払うことで待ち時間を少なく利用できる有料サービス。
  • 2022年5月の導入以降、対象アトラクションが拡大され、ファンタジースプリングスの新アトラクションでもDPAが提供されています。
  • 「ビッグバンドビート」などのショーも有料枠が設定されるなど、課金ポイントが着実に増えています。

◆チケットのダイナミックプライシング
混雑期には10,900円、閑散期には8,900円といった形で、チケット価格に幅を持たせることで、単価を押し上げています。

◆外国人ゲストの増加

  • 2025年3月期の通期予想では、外国人来園者数400万人、全来園者に占める割合14%と予想されていましたが、実際はこれを上回る外国人来園者が訪れました。
  • 今期2026年3月期第1四半期も非常に好調で、特に外国人ゲストは「せっかく日本に来たのだから待ち時間はもったいない」と、DPAを積極的に利用する傾向があるため、単価向上に大きく貢献しています。

このように、ファンタジースプリングスによる来園者数増と、DPAやダイナミックプライシング、外国人ゲストの積極的な利用による単価向上という二重の追い風が、第1四半期の好業績を牽引しました。

Next: なぜ通期予想は「増収減益」?オリエンタルランドが懸念していること

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