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日本の大マスコミが報道しない「パナマ文書」暴露、本当のタブー=吉田繁治

最初にタックス・ヘイブンを「発明」した英国政府の狙い

マネーの運用で得た所得への課税を回避するタックス・ヘイブンの仕組みは、第一次世界大戦の後、英国政府が植民地に作ったものが最初です。戦争で産業が破壊され、空洞化した英国は、NYのウォール街のように、「世界からマネーが集まる金融システム」を作ろうとしたのです。

そのための仕組みが、タックスシェルター(租税の回避)になるタックス・ヘイブンでした。英国政府は、本国の課税が及ばない地域を作ったのです。

このため、タックス・ヘイブンのほとんどは、今も英国の旧植民地です。アジアでは、香港、シンガポール、インド(ムンバイ)などです。

今回、パナマ文書で明らかにされたのは、タックス・ヘイブンの中でも大きな、英領バージン諸島の名簿と取引内容です。
(注)当然のこととして、米国のタックス・ヘイブンの名簿は載っていません

「マネーがマネーを作る」仕組みを謳歌していた英国

タックス・ヘイブンのおかげで、英国の金融機関は、世界のマネーを集めています。集まったマネーは、金融商品(世界の株、国債を含む債券、デリバティブ)に投資し、マネーがマネーを増やす仕組みを作っていく。

「マネーがマネーを作る」ということが分かりにくいかもしれません。実例を言います。例えば株に1兆円の投資をします。これは1兆円の株を買うことです。株価は、売りより買いが多ければ、上がります。

株価が30%上がれば、投資した1兆円は、1兆3000億円に増えます。これが「マネーがマネーを作る」ことです。金融のキャピタルゲインは、買うお金を増やすことで「作ること」ができるのです。
(注)安倍政権も、GPIFの資金で、株価を上げ「マネーがマネーを作る」ことを行っていますが、2016年にはそれが剥がれています

「金融面での国防」をも担うペンタゴン(米国防総省)

ペンタゴン(米国防総省)は、物理的な国防と同時に、金融面での国防も担っています。私がこれを知ったのは、ジェームス・リカーズの『通貨戦争』によってでした(邦訳2012年:朝日新聞出版)。

リカーズは、ペンタゴン所属の、戦争の分析を行う「APL(応用物理研究所)」に招かれ、ヘッジ・ファンドや投資銀行を使った通貨戦争のシミュレーションに加わっています。その内容を書いたのが『通貨戦争』です。

Next: パナマ文書公開は、米国が世界に向かって仕掛けた「戦争」だ

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