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Wiiの夢よ再び? Switchバブルに沸く任天堂株「PER100倍」の危うさ=栫井駿介

Switchのヒットが期待されて上昇する任天堂<7974>のPERは100倍。株価を正当化するには最低でもWii級の大ヒットが必要ですが、現実はそんなに甘くありません。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

「Switch期待」で急騰中の任天堂、一転下落に転じるリスクも

任天堂の株価が大きく上昇

任天堂<7974>の株価が大きく上昇しています。2017年4月以降の上昇率は40%にのぼり、「Wii」が大ヒットを記録した2008年以来の高水準です。時価総額は5兆円を超えました。

任天堂<7974> 日足(SBI証券提供)

任天堂<7974> 日足(SBI証券提供)

株価の上昇を牽引しているのが、2017年3月に発売された「Nintendo Switch」への期待です。発売されるや否や好調な売れ行きとなり、品薄により手に入りにくい状況が続いています。

会社側も強気の見通しを示し、今期の売上高は昨年度から5割以上の増収となる7,500億円を見込んでいます。任天堂の君島社長も「Wii程度の販売になる可能性がある」と期待を寄せています。

株価を正当化するには「Wiiの再来」が必須

一方で、上昇を続ける株価はPERにして100倍近く、他にないほど割高な水準です。一般的なPER水準は15倍程度であり、成長企業でもせいぜい30倍程度です。普通に考えて100倍というのは常軌を逸しています。

PER100倍を正当化するには、それだけ利益が伸びなければなりません。PER30倍だとしても、純利益は1,700億円必要です。今期の純利益予想450億円の4倍近い水準です。さらに、そこから先の成長が見えなければ、PER30倍でもなお割高と言えます。

しかし、かつて任天堂はそれ以上の利益を記録したことがありました。Wiiが世界的な大ヒットになった2008年度には純利益2,800億円を記録し、時価総額は一時10兆円を超えました。この時のPERが単純計算で35倍です。

つまり、SwitchがWiiのような大ヒットとなるなら、現在の株価も正当化できる可能性があります。

Next: 悲劇は二度繰り返す? なぜ任天堂はアップルになれないのか

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