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ゆうちょ銀の出資解禁で「200兆円マネー」が向かう先は?地方創生に期待感=FP・落合陽平

11月4日の日本郵政3社上場を前に、これまで禁止されていた「ゆうちょ銀行の投資ファンドへの出資解禁」が検討されていることをご存じですか?200兆円とも言われる巨額マネーの運用解禁は、安倍政権が掲げる地方創生の実現にも大いに影響しそうです。FPの落合陽平さんが解説します。

ゆうちょ銀行が出資解禁へ、期待高まる200兆円の有効活用

出資解禁は上場後の運営として必然の流れ

日本郵政、ゆうちょ銀行、そしてかんぽ生命の超大型上場が迫る中、ゆうちょ銀行は地銀と連携して、投資ファンドを設立するようである。

ゆうちょ銀行は地方の経済活性化などを目的に地銀などと共同で投資ファンド(基金)を設立する。ゆうちょ銀は投資基金への出資を禁じられていたが、金融庁は解禁する方針だ。来年にも実現する見通し。基金の資金は、中小企業が事業拡大などに役立てる。

ゆうちょ銀が国債投資に偏る200兆円超の運用資金をリスクのある投資対象に本格的に振り向ける第一歩となる。(後略)
出典:ゆうちょ銀行の出資解禁、地銀などとファンド 金融庁方針 中小企業に成長資金(日本経済新聞)

そもそも銀行というのは、預金者などから集めた資金を、個人や法人に貸し付けたり、出資したり、あるいは国債や株式などで運用することで、利ザヤを稼ぐ商売である。

ところが、ゆうちょ銀行の場合は、貯金などで集めた資金を企業などへ貸し付けることが禁止されていた。理由は単純で、安全運用が原則とされているからだ。

ゆうちょ銀行の総資産は約200兆円、そのうち有価証券での運用は約156兆円(うち国債約107兆円)とされ、メガバンク3行の合計を上回っているという、とんでもなくデカい会社である。企業への貸し出しが禁止されているということは、損失リスクが下がる分、他の民間銀行と比べ、儲かりにくい(リターンも少ない)という話になるので、今回解禁されるという話は上場後のゆうちょ銀行運営において、ある意味必然といえるかもしれない。

地方創生の財源としても期待がかかる200兆円のゆうちょ資産

ちなみに、郵政民営化法では、ゆうちょ銀行が資産運用の一環で株式などを保有することは認めているが、銀行法の規定でファンドへの出資はできないと解釈されていた。そこで、ゆうちょ銀行は新規事業を行う際に、その妥当性を判断する第三者機関(郵政民営化委員会)に対して、「地方創生・地域活性化のためのファンドへの出資」の解禁を求めていた経緯があり、金融庁の「地方創生に役立つ」との判断から、承認に前向きだそうである。

当然ながら、200兆円という超巨大な資産から放出される資金(いくらになるかわからないが)は地方にとっては、喉から手が出るほど欲しいところであろう。仮に0.1%だとしても、2000億円という金額が地方創生に役立つのは間違いない。

ゆうちょ銀行については、預入限度額の引き上げもあり、他の民間銀行と対立していた構造がある。今回の連携により、互いの不得意を補いながら、日本経済に役立ってほしいと思う。

資本主義の基本は「貸し借り」である。資本主義である以上、貸し借りによって経済は発展するし、それがなければ経済は必ず衰退する、というのが運命なので、個人的に今回の解禁は、とてもうれしい話である。

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落合王子のマネーアカデミー』2015/10/19号より一部抜粋
※太字、小見出しはMONEY VOICE編集部による

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