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郵政グループ3社を徹底解剖!売出価格で考える3つの注目ポイント=櫻井英明

11月4日に上場する郵政グループ3社は政府保有株ではJT以来の大型IPOということで、既存の投資家のみならず、多くの人から注目を集めています。成長性に疑問符をつける声もありますが、はたしてどんな船出となるのでしょうか。ラジオNIKKEI『ザ・マネー』や『投資知識研究所』でパーソナリティーを務める櫻井英明さんが郵政グループ3社にかかる期待と不安、今後の展望を解説します。

注目の大型IPO、割安感と配当に期待できそう

まずは売出価格から算出した指標データを確認

11月4日に上場が予定されているゆうちょ銀行<7182>、かんぽ生命保険<7181>の売出価格が仮条件上限で決定した。売出価格で算出した各種データは下記のとおり。なお、申込期間は10月20日~10月23日となる。

■ゆうちょ銀行<7182>(東証1部・銀行業)

売出価格 1450円(仮条件:1250円~1450円)
売出額 5980億円
上場時時価総額 6.5兆円
今期予想PER※ 20.4倍
前期実績PBR 0.47倍
今期予想配当利回り 1.72%

■かんぽ生命保険<7181>(東証1部・保険業)

売出価格 2200円(仮条件:1900円~2200円)
売出額 1452億円
上場時時価総額 1.3兆円
今期予想PER※ 15.7倍
前期実績PBR 0.67倍
今期予想配当利回り 2.55%

※今期予想PER:今期会社予想の当期純利益を上場時発行済株数で除した1株当たり利益(EPS)を用いて算出。

■日本郵政<6178>

ブックビルディング期間は10月23日まで。日本郵政が保有するゆうちょ銀行、かんぽ生命保険2社の株式の時価は、売出価格ベースで約6兆円(売出株控除後)に上る。日本郵政の株式時価総額は仮条件上限でも約6.3兆円であることから、割安感が強く意識されそうだ。

なお、日本郵政は10月21日、金融2社株式の売却手取金で自己株式の取得を行うことを発表している。政府保有株の売却により復興財源の確保や民営化の推進を図る。取得する株式の総数は22.5億株(発行済株式数の50.0%)。

郵政グループ3社、3つの注目ポイント

(1)政府保有株を放出する時は、上昇の可能性が高い!

今回の郵政グループ3社のIPOは政府保有株です。同様の銘柄がどういった結果だったかというとNTT・JR東日本・JR西日本・JR東海・NTTドコモ・電源開発・国際石油開発が、いずれもプラスリターンとなっています。唯一公募割れをしたのがJTの一社のみですので、政府保有銘柄の放出時には高い勝率を誇っていることがわかります。

(2)割安&高配当?で魅力的

郵政IPOに関しては、個人を含む幅広い投資家に販売したいという政府の考えがあるようで、想定価格を見ると同業他社と比べて割安な水準に設定されています。また、できるだけ長期で保有をして欲しいという意図から配当政策にも前向きです。日本郵政やゆうちょ銀行は来期から配当性向を2倍程度に引き上げの考えがあるようですので、それが実現すれば配当利回りが3%を大きく超えていく可能性があります。

(3)PBRはいずれも1倍以下

日本郵政の純資産は15.4兆円、グループ3社の時価総額としては推計12.6兆円。仮条件の幅がありますので、

  • 日本郵政 PBR0.32倍~0.41倍 (時価総額6.1兆円)
  • ゆうちょ銀行 PBR0.40~0.47倍 (時価総額5.2兆円)
  • かんぽ生命 PBR0.58~0.67倍 (時価総額1.3兆円)

大幅にPBR1倍を下回るので、割安と判断できますね。これは儲かりやすそうだねって思うのは、安直だとは思いますが、割安であることは間違いないでしょう。

成長性は確かに「?」、しかし配当目的なら「あり」か

2015年11月4日に上場する日本郵政・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の郵政IPOは、販売される株数が他のIPOと比べ格段に多いため、需要が供給を大きく上回り価格高騰につながるということはまず考えなくてもいいでしょう

つまり、初値が付いた後に穏やかに株価が上昇していくことが推測できるため、上場初日の株価推移を観察して充分に上がったあたりで売却する。

株は本来、長期投資が目的。ただし、今回の郵政3社の上場は、東日本大震災の復興資金の確保等、政府の思惑もあり、目先の上場時の株価は様々な要因が絡み過ぎます。

本来の株式投資に立ち返れば、企業分析をしてその会社の成長性や配当性向を読んで……、というのが王道になります。そう考えると、郵政3社の成長性はどうなのよ?ということになります。しかしながら、配当性向は高くする、とも報じられており、配当目的で買うのは“あり”かもしれませんね!

12月末に向けてTOPIXに組み込まれますから、その買いも入ってくるでしょう。しかも、今の500兆円くらいの時価総額のところに13兆円の時価総額の会社が上場するわけですから、やはりかなりの割合を買わなければいけないですよね。

まあ、浮動株比率がどうなるか見えていないので、ざっくりした計算になりますが……。恐らく、TOPIX連動型のファンドは6000億円から7000億円近く買わなければならなくなると思います。13兆円の企業を無視することはできませんよ。

【関連】「日本郵政の、日本郵政による、日本郵政のための官製相場」が始まる

【Eimei.TV】マーケットコメント』2015年10月21日号より一部抜粋、再構成
※太字、見出しはMONEY VOICE編集部による

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