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ソロスのポンド売り崩しを私はこう切り抜けた~イベントリスク管理術=矢口新

元為替ディーラーで、ベストセラー『生き残りのディーリング』著者の矢口新氏が、有料メルマガ読者の質問にズバリ回答。この記事では、個人投資家はもちろん、プロであっても事前に想定することができない突発的な「イベントリスク」への対処法を考えます。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』)

個人投資家における「イベントリスク」対策のポイント

メルマガ読者からの質問

有事の際の相場の見方として、例えば「金・原油の動向を見る」「材料が世界中の市場を1周するまで様子を見る」など色々あるかと思いますが、矢口さんはどうお考えですか?判断材料や取引の方法などをお聞かせいただければと思います。

矢口新氏の回答

相場には大別すると、マーケット(=価格変動)リスク信用リスクイベントリスクの3つリスクがあります。

他のリスクは、これら3つのリスクに含まれるとご理解下さい。もちろん、全部が価格変動の要因ではあるので、究極的にはすべて価格変動リスクと言えなくもないのですが、ヘッジの仕方が異なるので、このような分類になります。

マーケットリスクは反対方向の先物やオプションで、信用リスクは相当量のキャッシュ保有で、イベントリスクは保険に入ることで、概ねヘッジすることができます。

有事とは、通貨や資産の売買の前に、予め想定しておくことができないイベントリスクに当たります。その意味では、日常化した地政学的リスクはもはや有事とは見なされず、市場の反応も限定的です。

有事の例とすれば、現地11月24日に起きたトルコによるロシア機の撃墜は、予想されていないものでしたので、欧米の株式市場は一部を除き下落しました。

米メディアの報道では、世界の市場でロシア株が最大に下落というものと、トルコ株が最大に下落というものとがあり、調べたところ、ロシアが3%半ほどの下落、トルコが4%半ほどの下落だった記憶があります。

これは、両国のいざこざは双方の経済にとってマイナスで、悪影響はトルコの方が大きいという見方と、奇しくも一致しました。

一部を除き下落というのは、原油価格が上げたので、そのことを好感して僅かながら上げた市場があったためです。ちなみに、金価格も上昇しました。

これらのことでお分かりのように、「有事」だからといって、すべてが同じように反応する訳ではありません。

発生した場所や、関連する当事者たちが被る被害や、他者への影響などが異なるので、「有事の際の相場の見方」と特定できるものはないと言っていいでしょう。

個人投資家におけるイベントリスクへの備えとしては、できるだけ短期トレードに徹することです

プロは世界中の主要市場に人員を確保しています。チームのグローバル会議で集まるような時にも、東京、ロンドン、ニューヨークの3拠点には、必ず留守番を置いて、24時間市場を監視しています。

Next: 1992年ポンド危機の裏話/長期保有は短期取引よりリスクが大きい

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