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バイデンが習近平に突きつける屈辱の3要求。トランプ退陣は中国屈服の合図だ=勝又壽良

民主党政権はチーム力で対抗

中国が水面下で米国へ働きかけを行っている理由は、次の3点にある。

1)中国の貿易や技術への制裁
2)中国の領土権主張への拒否
3)中国の人権抑圧問題による摩擦

以下、私のコメントを付したい。

1)貿易や技術への制裁で、中国は深刻な影響を受けている。バイデン政権は、前政権の課した制裁を継続する方針だ。イエレン財務長官は、「中国の悪質な慣行にはあらゆる手段」を積極的に使うとし、対中関税は同盟国と協議するまで変更するつもりはないと言明した。また、「中国に実際に意味のある圧力をかける違ったアプローチが必要だ」とも指摘。バイデン大統領と共に各国の為替操作をやめさせるよう取り組んでいくと表明した。

技術は、高級半導体と技術ノウハウの輸出禁止措置が取られている。すでに、中国にとって致命的打撃を受けている。中国自動車業界では、半導体不足によってEV(電気自動車)開発に重大な支障が生じる見通しである。中国の国家新能源汽車技術創新中心(NEVC)の原城寅ゼネラルマネジャーは、「数十年前の状態に戻る」とまで発言する始末だ。EVで、高級半導体が入手できなければ、開発はお手上げになる。

2)中国の領土権問題も深刻である。南シナ海での島嶼占領と軍事基地化は、抜き差しならぬ事態を招いている。米国のほかに、英国・ドイツ・フランスが海軍を派遣してけん制する状況にまでなってきた。これは、中国一国で主要国を相手にした軍事対決へ陥りかねないという危機に繋がっている。

中国は1月22日、海警局(日本の海上保安庁)の権限などを定めた海警法に署名した。これによって、海警局が「重要な海上武装部隊」(準軍事組織)としての位置づけを明確にした。尖閣諸島の周辺や南シナ海で、中国公船の行動が先鋭化する懸念を強めている。こうして、中国は自ら軍事紛争へ発展しやすい「種」を蒔いている。これは、中国国内向けを狙った姿勢だろうが、軍事衝突の危険性を高める。日本の海上保安庁は警察組織だが、中国はこれに武器を持たせるという事態になった。

3)中国の人権抑圧にまつわる摩擦は、先進国が絶対に容認できない問題である。新疆ウイグル自治区が典型的な事例だ。約100万人の住民を強制収容所へ集めて、ウイグル族文化の抹消を狙うというナチス同然の野蛮行為を行っている。これは、中国共産党に反抗しないようにする政治的狙いだ。また、香港へ「国家安全法」を導入して、民主化運動へ容赦ない弾圧を加え、人々の拘束を続けている。

ホワイトハウスが、こうした重大問題を抱える中国の高官と会談を急ぐことに、消極的であるのは当然であろう。バイデン大統領は、オバマ政権の8年間を副大統領として、それ以前の10年間ほどは上院外交委員長を務めた経歴を持つ。バイデン大統領が、中国を相手にどのような外交をすべきか熟知していると見て良い。

バイデン氏はこれまで、次のような考えを示してきた。

先ず、同盟国首脳と会い、共同で中国に立ち向かう「共同戦線」の課題を話し合うというのだ。それゆえ、米国が米中の水面下での交渉において「われわれは急いでいない」と、前記のWSJは伝えている。

Next: 米中衝突は激化?バイデン政権の新国務長官は外交路線を踏襲

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