大会協賛スポンサーにとっても協賛価値は激減
森前会長が極めて前時代的な差別発言を平気で行い、周囲のJOCのメンバーもそれを一切会議場で静止できなかったという問題は、単なる一時的な発言ではなく完全に封建的なレイシストが仕切る東京五輪というイメージを定着させてしまいました。
極めて商業的に見ても、オリンピックに協賛することでグローバルでのブランド認知と評価の向上が目指せるといった参加企業のブランディングメリットというものを、すべて吹き飛ばすこととなってしまいました。
もともと商業的に走り過ぎているという厳しい指摘もあるわけですが、それを100歩譲っても、もはやこのようなイベントに協賛する価値を見いだせる民間企業はよほどのカネ余りで費用対効果を気にしない、または協賛による自らのブランドイメージ棄損をまったく気にしないところ以外は、もはやついて来ないところに差し掛かっている感があります。
本来ならば、長年協賛スポンサーのセールスに翻弄してきている電通こそが、五輪の商品価値を下げないためにも森氏をいち早くシャットアウトすべきではなかったのかとさえ思います。
しかしすでに後の祭り状態で、下手をすればグローバルスポンサーなどはレイシストの言動をエンドースしている極悪企業のイメージすら定着しかねない状況。
オリンピック自体のブランド価値は完全に地に落ちた感があります。
本来、新会長は勇気をもって東京五輪開催を中止すべき存在
すでに今年も地域によっては桃の花が咲く季節になっており、7月の東京五輪開催までは、半年ないところに差し掛かっています。
国内ではようやくコロナウイルスのワクチン接種が始まろうとして段階であり、世界的にも収束はまったくできていない状況にあります。
ですから、森氏の後を継ぐ新会長は、ここで東京五輪の中止を宣言することがもっとも重要な役割になるのではないでしょうか。
後任に指名された川渕氏は森氏とともに涙を流すといった往年の浪曲のネタになるような茶番の展開を見せ始めており「是が非でも開催を」といった間違った方向に突き進もうとしているようにも見えます(※編注:原稿執筆時点2月12日 08:00。川淵氏は辞退の意向を固めたと報じられています)。
企業や商品のブランディングに関わったことのある方なら理解されているでしょうが、消費者・生活者が持つイメージや印象は、自らコントロールして思い通りに醸成できるようなものではありません。
あくまで受け手が勝手に思うイメージで生成されるものに過ぎないという点を、オリンピックに関わる内外の関係者がまったく理解できていないことを強く感じさせられます。