fbpx

不正署名「維新」関与か。愛知県知事リコール問題、動員されたバイトも逮捕の可能性

愛知県・大村秀章知事のリコール運動において、偽造が疑われる大量の署名が含まれていた問題で、愛知県民らの名前や住所が書かれた名簿を、多数のアルバイトを動員して、リコールの署名簿に書き写していたと中日新聞が報じて、大きな反響を呼んでいる。

16日の中日新聞が一面で報じた記事によると、書き写しのアルバイトは名古屋市の広告関連会社の下請け会社が、大手人材紹介会社を通じて募集。佐賀市内の貸会議室で書き写しをさせていたという。

今回の報道があった前日の15日には、愛知県選挙管理委員会がリコール署名の中に偽造されたものが大量に含まれている、いわゆる不正署名疑いがあるとして、被疑者不詳のまま警察に告発したと報じられていた。

動員されたバイトが逮捕される可能性も?

この中日新聞によるスクープに関連して、同日の昼前には共同通信が関係者への取材で判明したこととして「名古屋市の広告関連会社が運動事務局の指示でアルバイトを大量動員」していたと報じ、先の中日新聞の記事では記載がなかったアルバイト動員の指示元が、リコール運動の事務局だったとはっきり伝えている。

また共同通信は続報として、リコール事務局が名古屋市の広告関連会社に、アルバイトを募集するよう書面で依頼していたとみられ、募集内容などを記した「発注書」も残っているとも報じている。

このように、報じられてわずか半日の間で、アルバイトによる署名書き写しの事実にくわえ、その依頼の流れなども詳らかになりつつある今回の件。さらにネット上では、その際のアルバイトを募集していたとみられる求人サイトの魚拓も見つかっている。

その中身を見ると、書き写しのアルバイトが行われたのは2020年10月22日~24日と、リコール運動も終盤といったタイミング。場所は佐賀市内にある佐賀青年会館だった模様で、気になる報酬は日払い制で、例えば昼から夕方にかけての7時間(うち休憩45分)の作業で6,125円(交通費500円込)。ちなみに、なぜ佐賀県で行われたのかについては、最低賃金が全国最下位の県のひとつだからではないかと推測する向きが多い。

また、そのサイトには実際に働いたアルバイトによるコメントも寄せられており、「作業自体はきつかった」という声が目立ついっぽうで、「スタッフの説明が丁寧」といった好意的な感想も。見たところ、作業自体に大きな滞りはなく、粛々と進められていたようだ。

ただ、注意事項内には「※行政からのご依頼になるので、お名前・住所・電話番号を一定期間管理させていただきます。」という、ちょっと特殊な案件であることが窺える一文も。先述のアルバイトによるコメントからは、この作業がリコール署名の書き写しであると意識した声はなかったものの、今後の捜査の進展如何ではアルバイトの人たちにも、私文書偽造や地方自治法違反の疑いで事情聴取、下手をすると逮捕される可能性もあるとのことで、「恐ろしく罪作りな事しましたね」と同情の声が広がっている。

真相究明、今後の焦点は「維新の関与」か

先述の通り昨日15日には、愛知県選挙管理委員会が不正署名に関して被疑者不詳のまま警察に告発したが、それを受けて同日に行われた会見で大村知事は、「河村氏、高須氏、田中氏(元県議)、主導されたこの方々は、事実関係を明らかにする責任があると思います」と、リコールの主導者である3人を名指しして批判したと、各紙が報じている。

そのすぐ翌日に大々的に報道されることとなった今回の件に関し、上記の3人はどのような反応を見せたのか。まず名古屋市の河村たかし市長は、愛知県選管の刑事告発に関しては15日に「自ら告発(検討)したり、市長権限の業務監査もやる。(真実を)明らかにしたい」と述べたものの、アルバイト動員によるリコール署名書き写し発覚に関しては、今のところノーリアクションである。

また、リコール運動の中心的存在だった高須クリニック院長の高須克弥氏は、16日早朝より頻繁にツイッターを更新。「リコールの責任者である僕は報告を全く聞いていない」「僕たちが愛知県で行っていたリコール運動とは全く異なる組織の仕事のようだ」と自らの直接関与を否定するいっぽうで、「僕は部下を切り捨てません。部下の責任は上司が取るのが筋です。大村愛知県知事とは違います。」と、いまだ舌鋒鋭い。

そして、今回のスクープを受けての取材に対し「指示なんてしていない」と関与を全面否定したのが田中孝博氏。リコール運動の事務局長だった同氏は、過去に愛知県議会議員を2期務め、現在は日本維新の会の愛知5区支部長に就く人物だ。

大阪府の吉村知事と高須克弥氏が以前から蜜月なのは周知の事実。さらに事務局長を維新の支部長が務めているとなれば、当然のように疑われるのが、アルバイト動員も含めた一連の不正署名への日本維新の会の関与だ。ネット上では、そんな維新ルートの真相解明を望む意見があがるいっぽうで、マスコミ特に関西メディアは忖度して、そこは切り込まないのではという声も多い。

アルバイト動員に関する具体的な指示の流れ、またその資金はどこから出たのかなど、今後の捜査の進展が待たれる今回の件。これに日本維新の会の関与も浮上してくるとなれば、今年行われる次期衆院選にも少なからず影響が及びそうな情勢だ。

Next: 名古屋に進出したかった維新の勢力が関与?

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー