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政治活動費でエルメス購入。自民4閣僚に批判噴出も、西村大臣の玉ねぎバラマキは許せる?

朝日新聞が閣僚らの2019年の「政治資金収支報告書」を調査したところ、4人の閣僚が「贈答品費」「土産代」といった名目で100万円以上の支出があったことが報じられ、物議を醸している。

支出が100万円を超えたのは西村康稔経済再生相(約716万円)、加藤勝信官房長官(約353万円)、麻生太郎財務相(約233万円)、武田良太総務相(約149万円)。支出が最多の西村氏は、自身の選挙区(兵庫9区)にある店での購入が目立ち、南あわじ市の農業法人から約111万3千円分、「淡路ビーフ」の専門店からも67万円分を購入。その反面で加藤氏は、都内の百貨店や大型商業施設での購入が目立ち、高級ブランド・エルメスで約3万5千円を支出。また18年にも計約20万円をエルメスで使ったという。

いっぽうで麻生氏は、国会に近い東京・永田町の酒店での支出が多かったとのこと。また武田氏は、地元・福岡名物のめんたいこ店を頻繁に利用していたという。

4氏とも具体的な贈り先は示さず

各政治団体が取り扱う政治資金の透明化を目的に戦後に制定された政治資金規正法。政治資金収支報告書は、この政治資金規正法に基づいて、政治団体に対して作成・提出が義務付けられているものだ。

国会議員が関係する政治団体については、1万円を超える支出をこの収支報告書に必ず記載しなければならないとされている。ところが、その記載も購入金額・年月日・購入先を示せばよいとされ、何を買ったのか、さらにそれが贈答品や土産だとしても、誰に贈ったのかまでは記載する必要はない。それゆえに、私的流用や不正蓄財といった政治活動とは関係ない使われ方をされていたとしても、判別がつかないとの指摘は以前から多い。

今回の件に関しても、朝日新聞が4氏サイドに購入した品や贈り先を尋ねたものの、「政治資金規正法が定める記載事項以外の詳細は、法の趣旨に鑑み回答していません」「法令に則(のっと)り処理し、(収支報告書で)報告しています」など、明確に答えることはなかったという。

今回分かった自民党閣僚による高額な贈答品費や土産代などの支出、そしてその具体的な購入品や贈り先が明らかにならない点に関して、ネット上からは「政治資金規正法がザル」「違法でなければ良いのか?」といった怒りの声が多くあがる事態となっている。

西村大臣は「玉ねぎのバラマキ」か?

今回贈答品費や土産代などで100万円以上の支出が判明した4閣僚のうち、突出して金額が多かったのが、約716万円の支出があった西村康稔経済再生相。地元での購入が多かったという西村氏の選挙区・兵庫9区は、明石市と淡路島全島がその区域で、実際に南あわじ市の農業法人から約111万3千円分の「何か」を買ったとされている。

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南あわじ市で採れる農産物といえば、同市のウェブサイトを見てみたところ、どうやら「玉ねぎ」や「レタス」がウリである模様。贈答品であることを考えれば、日持ちの面で厳しいレタスではなく、玉ねぎである可能性が高そうだ。

一般的に玉ねぎといえば野菜のなかでも安値安定な部類で、いわゆる家計の味方といった存在。ところが、淡路島産のものはその品質の良さからかブランド化されているようで、地元JAの通販サイトによると、新玉ねぎ約5㎏が3,000円(税込)と、結構いい値段がする。とはいえ、もしも西村氏が支出した約111万3千円分を、上記の淡路島玉ねぎの新玉ねぎ(約5㎏)の購入に充てたとすれば、おおよそ371箱分、重さにすると約1.8トン分にもおよぶ計算となる。

そのような大量の玉ねぎを購入して、西村氏は一体どうするつもりなのだろうか。疑惑どうこう以前にかなり気になるところだが、西村氏のホームページにある「活動報告」を見ると、その大量の玉ねぎの行方が一部明らかにされている。

南あわじを中心に、あちこちでタマネギの出荷も始まる(写真①)。東京の先輩議員には、この淡路の「新玉」を楽しみにしておられる方も多い。地元から、国会の会館事務所に大量に送ってもらい、スタッフが配って歩く。東京事務所の春の恒例行事である。タマネギは、血液をサラサラにする効果がある。

出典:活動報告 | 淡路島の春・雑感 – 西村やすとし オフィシャルサイト(2008年5月6日配信)

どうやら西村氏は、玉ねぎが旬の季節になると大量に仕入れ、先輩・同僚議員たちにおすそ分けしていたようだ。また同じ記事には、西村氏自身が主催するセミナーなどで「たまねぎスープ」や「たまねぎカレー」などの加工品もお土産として配っていることが書かれ、「なかなか評判がいいようで、嬉しい限りである」と、好反応ぶりにずいぶんご満悦のようである。

もっとも記事自体が10年前のこととあって、近年そのような「玉ねぎバラマキ」が行われているかは不明である。ただ、西村氏のツイッターを見ると、2月21日に投稿された最新のツイートがこれまた玉ねぎネタ。西村氏の玉ねぎへの愛は、いまだに健在のようだ。

「エルメス加藤」に批判の声殺到

このように、地元選挙区での購入が多いとされた西村氏とは対照的に、都内にあるエルメスにおいて複数回の買い物があったと報じられたのが加藤勝信官房長官。

馬具工房から始まったエルメスの代表的な製品といえば、やはりバッグを思い浮かべる方が多いと思われるが、それらはウン十万、ウン百万円という世界。今回判明した支出金額から推察するに、加藤氏は恐らく2万円後半~3万円台の「ネクタイ」を購入したのではないかという意見が、ネット上では多い。

「国民をバカにしてるのか」「腐敗ぶりに反吐が出る」などの辛辣な意見も多くあがる今回の件だが、地元・淡路島の玉ねぎや牛肉を大量購入していた西村氏に対しては、地元宣伝という意味で「百歩譲って」許容できるといった声も。ただ、岡山5区選出にも関わらず都内でばかり買い物をしている「エルメス加藤」に対しては、相当に厳しい視線が集まっているようだ。

朝日新聞の取材に対して、具体的な購入品や贈り先を明かさなかった4人の閣僚たちだが、支持率の低下に喘ぐ最中とあって、何らかの説明が無いことには、不満の声はさらに拡大しそうな情勢。少なくとも加藤勝信官房長官がいつもの記者会見に、エルメスのネクタイを締めて現われないかどうかは、今後よくチェックしたほうが良さそうだ。

Next: エルメスを贈る必要のある政治活動って何?

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