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なぜコロナ克服の中国でショッピングモールだけ苦境?日本でも起こる小売の大変革=牧野武文

増える空き店舗。中国ショッピングモールは苦しんでいる

中国のショッピングモールが苦しんでいます。

「2020H1一二線都市ショッピングモール空き店舗率報告」(WIN DATA)によると、2020年上半期の空き店舗率が8.88%となりました。これは、19の主要都市の5万平米以上のショッピングモール1,116カ所に対する調査結果です。

広州、杭州、重慶などの8つの都市では、空き店舗率が10%を超えています。しかも、ショッピングモールの店舗には契約期間があるため、その期間が終了しなければ退去することができません。これにより、2020年下半期ではさらに空き店舗率があがっているのではないかと懸念をされています。

実際、すでに空き店舗率が50%を超えてしまい、存続そのものが難しくなっているショッピングモールが出始めているようです。

ショッピングモールが増えすぎた?

ここ数年で中国の都市を訪れたことがある方の中には、ショッピングモールの多さに驚かれた方もいるのではないでしょうか。大都市はモールだらけといってもいいほどです。

実際、2019年にはすでにモールの過当競争が大きな課題になっていました。明かに多すぎるのです。

しかし、人は新しくできたモールに行きたがるので、過当競争を勝ち抜くには、新しいモールを作るしかない。単なる買い物センターではなく、有名飲食店が入り、シネコンなどの映画館、観覧車などの本格的な遊戯施設があるのも当たり前、さらにはオフィス棟、住居棟なども併設される例も増えていました。

モールには、都市型モールと郊外型モールがあります。都市型モールは都市内にあるもので、郊外型モールは市外に広大な敷地をとって半日そこで遊べるというものです。このうち、都市型モールはそれなりに利用されているようです。スーパーやカフェもあり、地下鉄の駅から徒歩圏内で、通勤経路の途中にあるため、日用品を買うのに使われているからです。

厳しさが増しているのは郊外型モールです。郊外型モールは、わざわざ行かなければならないため、コロナ禍による外出自粛で客数が大きく減ることとなりました。

もう新型コロナは過去のもの

コロナ禍による業績悪化はどうしようもないことです。どの業種も大きな痛手を被っています。

しかし、中国の感染拡大は厳しかったものの、他国よりもいち早く終息しています。2020年の3月には終息が見えてきて、6月には市民感覚ではほぼ終息をしたと感じ、9月には中央政府が、人民大会堂で、感染対策に貢献をした人への表彰が行われ、事実上の終息宣言をしました。

もちろん、それ以降も、無症状感染者が見つかったり、小規模クラスターの発生は断続的に続いています。そこには対策チームが急行し、その地区を封鎖し、住民、関係者を一斉にPCR検査をするという手法で、最後の掃討戦を行っています。

市民感覚としては、もう新型コロナのことは過去のものになっているようです。

ただし、感染予防対策は続いています。多くの都市で、公共交通機関を利用するには健康コード(感染リスクを緑、黄、赤の3段階で表示する仕組み)の提示が必要ですし、店舗を利用するにはマスク着用と体温測定、さらには長距離移動をした場合は、戻ってから14日間程度の自己隔離が必要になります。

そのため、毎年、故郷に帰る人で空港、鉄道、高速道路が大混雑となる春節も、今年は故郷に帰らなかったという人が多かったようです。各都市の政府も春節で故郷に帰らないことを推奨しています。

このような制限はまだあるとはいうものの、人出の賑わいは各地で戻っています。

最近使われるようになった言葉が「内循環」です。つまり、長距離移動には制限があるため、制限を受けない同じ都市の中、同じ省の中でレジャーを楽しむというものです。

人気になっているのは、フィールドアスレチックやキャンプ、サイクリングなどのアウトドアアクティビティです。家に閉じこもっている期間が長かったため、広い場所で思いっきり体を動かしたいのだと思います。スポーツが苦手な人も、景観の美しい場所、広い公園などにいくという傾向が高くなっているようです。

Next: コロナ無関係に落ち目のショッピングモール。復活への道は?

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