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なぜ人権にうるさい韓国がウイグル問題に触れぬ?二番煎じの米韓会談で文在寅は窮地に立つ=勝又壽良

韓国は人権派弁護士出身が大統領であるので本来は人権重視に関心を向けるはずだが、条件付きの人権擁護である。それは、日本に対して声高に人権論を主張するだけである。旧慰安婦や旧徴用工の賠償問題では、「人権に時効はない」(文大統領)と名演説をする。だが、北朝鮮と中国に関しては、「ノーコメント」を貫くほどアンバランスである。極めて、風見鶏的な人権擁護論なのだ。(『勝又壽良の経済時評』勝又壽良)

【関連】先進国すべてが「中国を嫌悪」。外需消滅で中国経済は破綻する=勝又壽良

※本記事は有料メルマガ『勝又壽良の経済時評』2021年4月19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:勝又壽良(かつまた ひさよし)
元『週刊東洋経済』編集長。静岡県出身。横浜市立大学商学部卒。経済学博士。1961年4月、東洋経済新報社編集局入社。週刊東洋経済編集長、取締役編集局長、主幹を経て退社。東海大学教養学部教授、教養学部長を歴任して独立。

日韓問題、米国は日本に肩入れ

日米首脳会談が4月16日(現地時間)、ワシントンで開催された。

米国は、対外戦略で中国との競争に打勝つことを最大目標に掲げている。インド太平洋戦略「クアッド」(日米豪印)は、そのマジノ線に位置づけられた。日本はその核である。バイデン米大統領が、最初の対面による首脳会談相手に菅首相を選んだのは当然であろう。

米国は、中国の世界覇権への挑戦を絶対に退ける強い意志で臨んでいる。日本が数ある米同盟国の中で、最大のパートナーになっていることは、日韓関係にも微妙な変化を与えている。日韓関係が悪化しても、従来のような米国の仲裁する動きがまったく見られないことだ。日韓関係がひび割れした理由は、韓国の国際法違反にある以上、米国は日本へ妥協を求める訳にいかないのである。

米国は、中国に対して国際法遵守を要求している。この立場から、国際法違反の判決を2度も続けて出した韓国に対して、米国が是認できるはずがない。

韓国はこういう国際法的な視点がゼロである。日本を悪者にすれば、米国が中に入って仲裁してくれるという甘えが今もつきまとっている。

卑近の例で言えば、日本が福島原発の処理水であるトリチウムをIAEA(国際原子力機関)との話合い(過去4回)をベースに、2年後の海洋放出を決定した。この間、各国外交団に事態の顛末を100回も説明してきた。それにも関わらず、韓国は日本の一方的決定と非難している。米国は、日本の措置に賛成する旨の国務省談話を発表した。

韓国は4月17日、米大統領特使で気候変動問題を担当するケリー氏をソウルに招き、日本の「悪行」を訴え善処を求めたが不首尾だった。ケリー氏は、「日本はIAEAと非常に緊密に協力して解決策を進めてきた。すでに両者の連携が進行中で、非常に明確な規定と期待値がある手続きの中に、米国が飛び入るのは適切でない」と述べた。

韓国が、反日目的で米国を引き込む目論見は失敗したのである。

米韓首脳会談は5月下旬、文在寅の思惑は大外れへ

日米関係の一段の緊密化は、米韓関係の位置をより低いものにさせている。

私は、韓国が明確に「クアッド」加入姿勢を示さない限り、「外様大名」の位置に引き下がると指摘してきたが、先のケリー氏の発言はそれを雄弁に物語っている。

実は、先の日米首脳会談の成果は、5月下旬に予定されている米韓首脳会談の成り行きに大きな影響を与えると考えられる。

韓国は、日米首脳会談の結果をかなり追認させられると見るべきだろう。韓国が、最も関心を持つ北朝鮮問題は、日米首脳会談で決まった北朝鮮政策にそったものにならざるを得まい。

文大統領は、南北問題解決において韓国が運転台に座ると強調してきた。現状は、日米韓三カ国が「共同運転」する形になっている。北朝鮮のミサイルが、日米の安全保障に大きな脅威になってきた以上、もはや韓国の一存で決められる問題でなくなったのである。

韓国は、こうした情勢変化を見落としている。南北の話合いがベースとなって、解決策を見つけられるという妄想に浸っているのだ。そういう安易な解決段階は、とうに過ぎている。

Next: 韓国が中国に急接近?米国は韓国により強い姿勢で迫る

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