先行指標は堅調だがサプライズを期待できるほどではない
それでは、直近の雇用指標や事前予想値を確認していきましょう。
前回から比べても改善基調は明らかとなっています。雇用は増え、失業保険申請件数も大幅に減少しました。ISM(全米供給協会)が発表する製造業部門の雇用指数は悪化していますが、これは人材確保が困難になりつつあるためとされており、採用に苦慮しているとのことです。これは非製造業部門にも当てはまるとのこと。
このように見かけも中身も非常に良好ではあるものの、民間のADP社の報告においては、雇用者数が予想の+80.0万人増を下回っており、今夜サプライズを期待できるほどではないといったところでしょうか。
また、企業としては採用を加速させているものの、労働市場からドロップアウトしてしまった人々や、27週以上の長期失業者はスキルや労働意欲の低下から再就職しにくくなっており、思うほど労働市場が改善していかない可能性が示唆されています。
これらの懸念も含め、非農業部門雇用者数が予想の+97.8万人増といった数字を大きく上回っていくかどうかが、今回のポイントということになるでしょう。
サプライズがなければ、まずはレンジを意識して戻り売り!
結局、ドル円はレンジというか、よほどのサプライズがない限りは上値抜けは難しいように思います。というのも、パウエルFRB議長は見かけの労働市場ではなく、長期失業者や労働参加率といった質の部分の改善を待ちたいと繰り返していますから、この辺がはっきり良い数字にならない限りは、金利の上昇期待によるドル高というのが期待しにくいですからね。
また、インフレについても一時的としており、今回の雇用統計の平均時給に関しては、前月比・前年比ともに伸びがないかマイナスが想定されています。要するに労働者が増えたと言っても大半がサービス業では、賃金インフレが想定しにくいということで、金融の引き締めは待てるという判断になるでしょう。
賃金インフレは継続性が高いことからFRBは迅速に対応するとされていますが、現状はそのような兆候もないということです。
したがって、よほどのサプライズ(非農業部門雇用者数が100万人以上かつ3月分の数字が上方修正、さらに平均時給もプラス圏になる)の数字が出ない限り、短期トレードは全戻し想定の戻り売りを考えたいところです。