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ビットコイン急落で韓国の若者らが借金地獄に。無謀な投機の裏に損失回避バイアス=栫井駿介

なぜ韓国の住宅価格は高騰した?

株式投資をするといっても、先ほど示しました通り、ほぼサムスンです。

なので、株で儲けを上げるというよりも、マンションを買えばどんどん価格が上がっているので、それを高値で売り抜けた方が利益が出る……というのが主な資産運用手段になっているワケです。

まさに日本のバブルの頃の土地転がしに他ならないのですが、それが続いた結果、マンション価格が上昇しました。

そして若い人、これから買いたいという人にとっては、手が出せる金額ではなくなってしまっています。ですから、もはや家すら買えないという、もともと希望がないところに、さらに追い討ちをかけられてしまっています。

それほど将来に関して希望が持てないので、日本も合計特殊出生率が低いと言われており、それでも1.4ぐらいですが、韓国に関してはなんと1を下回りました。

すなわち、これは子どもを産む人でも1人しか産まなかったり、まったく結婚できないまま生涯を終えてしまうということが少なくありません。

こうなっていくと人口もどんどん減って、高齢化が進むということですから、韓国の国力自体も衰えてしまうのではないかという懸念があります。

韓国若者の無謀は「プロスペクト理論」で説明できる

こういった状況で普通に若者が過ごしていたら、将来への希望を見出せません。

そこで、なぜ仮想通貨への投資(投機)に手を出してしまうのか?ということを説明するのが、「プロスペクト理論」というものです。

これはいわゆる行動経済学(心理を使った人々の行動を分析しようという学問)なのですが、プロスペクト理論に当てはめればよくわかります。

このプロスペクト理論で軸となるのが、損失に対する痛みを回避しようとすることなんです。「人は利益を出す喜びよりも、損失を被る痛みの方が大きい」ということです。

これを具体的に数字で説明しますと、いま仮に100万円を持っていたとします。これがあるクジを引いて、当たればプラス100万円、ハズレだったらマイナス100万円になるとします。つまり、当たれば200万円になるけれども、ハズレが出れば0円になってしまいます。

こういった取引の場合、多くの人はなかなかやりたがりません。失敗したら100万円の損失を被ってしまい、結果、0円になってしまう可能性があるということなので、やりたがらない人が多いということです。

一方で、いま100万円の借金を負っていたとすると、借金を負っているというのは損失ですから心理的な不安を大きく感じます。

すると何とかここから抜け出したいということを考えて、リスクの高い取引にも手を出してしまうという理論があります。

この結果、いま仮想通貨の取引をしたとして、うまくいったらプラス300万円、失敗したらマイナス300万円となってでも、プラスになったら何とか借金生活から逃れられる。しかし、失敗したら400万円もの借金を背負ってしまう取引でも、やりたいと思うわけです。

何故なら、損失を脱出できる可能性があるからというところです。

Next: 損失回避に潜む落とし穴。『カイジ』の世界はすぐ隣にある

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