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育休を取らない男は1億円の損。改正育休法で会社員に明暗、育児専念に6つの効用=午堂登紀雄

「パパ育(いく)」も必要

妻側が最初からあきらめているケースもあります。「自分がやったほうが速い」「作業がテキトーすぎる」「言うのも面倒」「説得する気力もない」というわけです。

そういうときは、パパにするための子育て、いわゆる「パパ育」が必要です。

それにはまず、小さく具体的なタスクからお願いすることです。たとえば「オムツ3枚に名前を書いてリュックの中に入れてね」「今日は燃えるごみの日だから玄関に置いとくね。家を出るときについでに出して」などと、小学生にもわかるような小さなタスクから依頼をし、それを積み重ねるのです。

そして、1つのタスクが大丈夫というレベルになったら、次のタスクをお願いし、夫の守備範囲を広げていく。そののち、家事育児分担表をつくって冷蔵庫に貼っている家庭もあるそうです。

大切なのは、怒ったり文句を言ったり、ダメ出しをしないことです。「なんでやってくれないの!」「そうじゃないでしょ!」「なんでそんな中途半端なの!」「これくらいできるでしょ!」「何度も同じこと言わせないで!」などと責めないことです。

いちいちダメ出しされたら夫の方も「なんだよ、せっかく手伝ってやってるのに」「不満があるなら最初から自分でやれよ」などと憮然とされてしまいますから。

「命令」や「小言」ではなく、「お願い」ベースで依頼する。たとえば「洗濯物をたたんでくれるととても助かるのだけれど」とか。

そして、最初から自分と同じクオリティを求めないこと。しわくちゃとか雑だとか、自分と同じレベルでやってくれないことにイライラするわけですが、最初は完璧にできないものだと割り切る。

イラっとしても、少しずつ育てる感覚です。毎日忙しくてそんな余裕はないのはわかります。「そこまでするのなんて面倒」「だったら自分でやった方がマシ」という感情もわかります。

しかし「夫という子育て」も同時にしていかなければ、いずれ奥様のほうがつぶれてしまいます。

外注を考える

それでもやってくれないとか、夫が忙しすぎて物理的に無理ということならば、外注、つまりベビーシッターと家事代行サービスを利用しましょう。これなら家事育児も仕事も両立できます。
お金がかかるといっても、育児で大変なのは小学校低学年くらいまでの数年程度なので、期間限定だと割り切ることです。

私の知人の女性編集者は第2子が生まれたとき、「自分の月給のほとんどが家事代行とシッター代に消えた」と言っていましたが、キャリアを中断することなく両立したため、子育てが一服した今では編集長です。年収は1,000万円を超えています。

わが家も子どもが保育園に入れない時期は、シッター代だけで月20万円以上かかっていましたし、家事代行サービスはいまでも利用しています。

私たちの場合は単に「家事に時間をかけるくらいなら、その時間で仕事をしたほうがより稼げる」という発想ですが。

家事代行は、掃除や洗濯といった家事はもちろん、1週間分の料理をつくり置きしてくれるサービスもあります。これなら会社帰りの買い物や料理の手間が省けます。外食やスーパーの総菜よりもよほど健康的です。

シッターも、保育園へのお迎えをやってくれるサービスもあり、これなら仮に残業になっても安心です。

帰宅後も、たとえば1時間だけでも公園などに連れて行って見てもらえば、母親もホッと一息つけるでしょう。保育園が休みの日曜祝祭日も、ちょっとだけでも預かってもらえれば心に余裕が生まれるというもの。

自治体が主催する「ファミサポ(ファミリーサポートセンター)」を利用すれば、専門のシッターよりも費用は格安です。

「他人が家に上がることに抵抗がある」という人も少なくありませんが、同じ人が毎回来れば、顔馴染みになってママ友のように「距離はある他人だけど、わりとざっくばらんに話せる」間柄になります。「ママ友が家に上がるのはイヤ」という人は多くないでしょうから、単に慣れの問題です。

ベビーシッターに預けることに罪悪感を持つ人もいるようですが、海外では当たり前ですし、そういう思い込みを捨てることです。

シッターに預けるのが悪いことなら、保育園に預けるのも悪いことになってしまいます。それに、別にそれで発育が阻害されるわけでもないでしょう。

Next: 子育てに必要なのは「落ち着いた親の精神」

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