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育休を取らない男は1億円の損。改正育休法で会社員に明暗、育児専念に6つの効用=午堂登紀雄

<5. 他人の子どもに寛容になる>

(5)の「他の子に寛容になれる」は、仮に他の子が騒いでいても泣いていても、「自分もアレで苦労したよなあ」と微笑ましく見ることができます。

特に長男は発達障害がありカンシャクが激しく、電車の中などでもよく大泣きされてヘトヘトに疲れたこともありましたし、今でも場所をわきまえずぶつぶつ独り言が多いですから、他人の子のやんちゃはむしろかわいく見えます。

以前、電車内でベビーカーを「おっさん」に蹴られたというエピソードを紹介しましたが、おそらく育児に関与してこなかった人なのでしょう。

また、これも以前「道路族」について「私はまったくうるさいとか感じない」「子どもの騒ぎ声はむしろほっこりあたたかい気持ちになる」と買きましたが、カンシャク持ちの子育てを経験したからこその境地ではないかと思っています。

<6. 夫婦のキャリアを中断しない>

(6)の「夫婦のキャリアを中断しない」は、家計のリスクヘッジにつながります。夫と交代で育児休業が取得できれば、奥様も早期に仕事に復帰でき、キャリアの中断をわずかな期間に抑えられます。もし出産を機に退職して社会から離脱すれば再就職にも難航し、生涯賃金は大きく下がるリスクがあります。

たとえば厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに計算してみると、女性の正社員が稼ぐ生涯賃金は約1.5億円。40年で割ると年収約370万円。時給1,000円のパートで6時間働いても年収150万円。その差220万円×40年で8,800万円もの差になります。下手をすれば1億円も生涯賃金が減るかもしれないのです。やはり1馬力より2馬力の方が安心だし、リスクヘッジになるでしょう。

金銭面に限らず、仕事を継続すれば自分のキャリアや能力を伸ばすチャンスは広がります。

先ほど、海外ではお金持ち家庭も夫婦共働きが主流だと述べましたが、仕事をして社会と関わり、自分の能力を発揮し、キャリア形成していくのは生き甲斐の1つでもあるという認識があるからです。

だから専業主婦というのは少なく、男女に関係なく働くのです。

という感じで、「男性が育児に関わることは、家庭全体の幸福につながる」といのが私の考えです。むろんそれは人それぞれですから押し付けるわけではありませんが、特に「子の成長という喜び」が得られるのはとても幸せなことで、これを実感できないとしたらもったいないなあと思います。

休暇中も夫は何もしない?

ただし現実問題として起こりそうなのは、仮に夫が育児休業を取得しても、家事はしないし育児もあまり戦力にならないという妻の悩みです。

実際、ネットでも調べてみたら、「育児休暇で家にいるのに旦那は何もしない」という声がちらほらありました。

厚生労働省の「消費生活に関するパネル調査」でも、女性の幸福度を高い順に並べると、

子どもがいない専業主婦 > 子どもがいない働く妻 > 子どもがいる専業主婦 > 子どもがいる働く妻

という結果が出たそうです。やはり妻側に家事育児の負担が偏っているからでしょう。

いくら男性の育児休業が取りやすくなっても、これでは家庭に前向きな変化起こらない。妻は家政婦ではないし、ベビーシッターでもありません。

これは私の個人的な価値観ですが、パートナーの活躍を応援できないなら家族としての存在価値はないと考えています。むしろ妻の望みを叶え、妻が社会でイキイキと働けるよう支援するのが夫の義務だと考えています。

そうでない関係なら、単なる同居人であり、そもそも一緒にいる意味がないでしょう。ならばいったん解散したほうがいいぐらいです。

とはいえ「それはムリ」という夫婦のほうが圧倒的でしょうから、まずは口に出して伝えることです。

「家族なのにわかってくれない」という人もいますが、言わなければわかってくれません。相手は超能力者ではないのですから。

望ましいのは、育児に突入する前の段階、たとえば子づくりをする前、妊娠がわかったタイミング、あるいは2人目・3人目の話が出たときに、家事育児の役割分担を確認しておくことです。

しかしそう決めたにもかかわらず、夫はいつも残業で遅いなどで妻がワンオペ状態になっている家庭も多いようです。あるいは「言ってもやってくれない」とか。

Next: 「パパ育(いく)」も必要。夫婦で子育ての目的を見失わないこと

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