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日本中のエアコンが静止する日。迫る「2021年8月大停電」の恐怖を私達はまだ知らない=澤田聖陽

再生可能エネルギーは安定供給に問題アリ

そこで議論になるのがベースロード電力の明確な裏付けなしで、再生可能エネルギーシフトを野放図に進めていってよいのかという点です。

正確に言うと、ベースロード電力としての火力発電や原子力発電はあるわけですが、火力や原子力で完全にバックアップできない規模に再生可能エネルギーを拡大していっていいのかという議論です。

再生可能エネルギーは自然の力に頼った電源であり、逆に言えば自然の状況が発電に対してアゲインストな状況になった時に、安定的に発電することは難しい電力源です。

この議論をするにあたって、テキサスで2021年2月に起こった大規模停電の事例はよく検証する必要があるでしょう。

テキサス州はここ10年ぐらい風力発電を推進してきており、風力発電の全発電量に占める電源としての割合が20%程度まで増えていました。一方、石炭火力の割合は10年でほぼ半減しました。

そこに2021年冬の大寒波が襲ってきて電力が逼迫し、計画停電を行わなければいけない事態に陥ってしまいました。結局、100人以上の死者を出す大惨事となりました。

このテキサス州の大寒波による惨事について、テキサス州のアボット知事(共和党)は 「天候に左右される再生可能エネルギーのみに依存するのは危険だ」とし、風力発電設備の凍結が原因だと結論付けました。

一方、民主党はアボット知事の発言を再生可能エネルギーへの不信感をあおる政治的な発言だと批判し、バイデン政権は「大寒波は気候の危機が迫っている証左だ」という声明を出しました。

私個人はアボット知事の「再生可能エネルギーへの過度な依存は危険である」という意見に賛同するのですが、これについては明確な結論が出ない論争だと思います。

また日本でもアメリカほどではなくても、今後いくども起こりうる論争だと思います。

おそらく再生可能エネルギーが不安定の伴う電源であるというのは、現時点での技術水準では間違いないでしょう。

また太陽光については、先日の熱海の土石流の問題でも脚光を浴びたように、太陽光が本当に環境に優しい発電なのかという問題もあります。

また日本政府が大規模で進めようとしている洋上風力にしても、ヨーロッパなどの一部で拡大しているものの、まだ安定的に運用した実績が少なく期間も短い状況です。

台風が多い日本で本当に安定的に運用できるかという点については不安が残ります。

ベースロード電源で十分にバックアップできない状態で、そこまで再生可能エネルギー依存の電力供給体制にしてよいのかというのは、意外ですがそれほど議論がされていないように感じます。

ベースロード電源必要論自体が、再生可能エネルギーの普及に邪魔だという専門家もいます(個人的には再生可能エネルギーを推進したいポジショントーク的に見えてしまいますが)。

「再生可能エネルギーの拡大に反対か賛成か」

「再生可能エネルギーの拡大に賛成ですか?反対ですか?」と聞けば、比較的多くの人が賛成だと言うでしょう。

ただし、「再生可能エネルギーの拡大で電気代が大きく上がったり、夏場や冬場に停電する可能性が高くなったとしても賛成ですか?」と聞いたら、おそらく比較的多くの人が反対だと言うでしょう。

前述のとおり、すでにこの夏は予備率が3%台になって、化石燃料のよる火力発電が中心である現状でも、停電リスクを意識しないといけない水準になっています。

これから再生可能エネルギーの比率が増えていけば、例えばですが、予定よりも風が弱く、洋上風力の発電量が少ないため電力が逼迫するというようなことが起こる可能性があります。

そのような不安定さを技術の進歩によって、今後解決することができるかという点が、再生可能エネルギーの普及にとって重要になってくると思います。

「気候変動問題」は絶対的なものであり、疑いの余地がなく、それ以外のどんな事態(例えばテキサス州のようなこと)が起こったとしても、再生可能エネルギーにシフトするのが善であり必要だというような、一部の過激リベラル思想による押しつけのような動きには個人的には賛同しかねます。

Next: 議論が足りない。日本のエネルギー政策を見つめ直すとき

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