fbpx

「夏こそ日本株の買い場」と言える3つの理由。「半年後に売る」の繰り返しで資金倍増!?=榊原正幸

日本の株式市場は「夏が買い場」と言える3つの根拠

<調査その1:過去の日経平均株価を調べてみると…>

さて、以下では個別銘柄ではなく、日経平均株価全体について、「夏」が「買い時」なのかどうかを調べてみました。リーマンショック後の2010年以降の10年間について、日経平均株価の月足チャートを基にして調べています。

2010年:8月が年内の安値
2011年:11月が年内の最安値だが、8月も比較的安値圏
2012年:6月が年内の最安値だが、8月も比較的安値圏
2013年:アベノミクスによる株価急騰後、6月が最安値だが、8月も比較的安値圏
2014年:4月が年内の最安値だが、8月と10月も比較的安値圏
2015年:1月と9月が年内の最安値だが、8月も比較的安値圏
2016年:2月と6月にかなりの安値が示現したので、8月はやや高くなり始めている
2017年:4月が年内の最安値だが、8月も比較的安値圏
2018年:3月と12月が安値
2019年:1月の次に安いのが8月
2020年:2月に発生したコロナショックから7月までに株価はV字回復となり、そこから株価が本格的に回復を開始したのが8月

以上の調査結果を、「8月が買い場だったかどうか(=比較的安値だったかどうか)」を軸にして、もっとシンプルにまとめ直してみます。

2010年:8月が年内の安値
2011年:8月も比較的安値圏
2012年:8月も比較的安値圏
2013年:8月も比較的安値圏
2014年:8月(と10月)も比較的安値圏
2015年:8月も比較的安値圏
2016年:(8月はやや高くなり始めている)
2017年:8月も比較的安値圏
2018年:(3月と12月が安値)
2019年:1月の次に安いのが8月
2020年:(2月にコロナショックが発生した)

このように、過去11年間(11回)のうち、8回は「8月が比較的安値」だったということがわかります。また、8月が比較的安値ではなかったのは、「2016年・2018年・2020年」の3回ですが、2016年と2020年は、8月に買っても、その後、年末まで充分に値上がりしています。中途半端な高値で、買うにはイマイチだったのは、過去11年間で「2018年」の1回だけだったことがわかります。

つまり、日本の株式市場というのは、実は「夏(8月)は買い場だ!」ということがわかったのです。

<調査その2:夏~年末の日経平均株価の推移を調べてみると…>

次に(1と同じような手法で日経平均株価の月足チャートを基にして)「8月~翌年2月の半年間の日経平均株価の推移」を調べてみました。

ここではまず、「8月の安値」と「翌年2月までに示現した高値」をまとめます。

2010年: 8,807円 → 2月:10,891円(23.7%上昇)
2011年: 8,619円 → 2月: 9,866円(14.5%上昇)
2012年: 8,513円 → 2月:11,662円(37.0%上昇)
2013年:13,188円 → 12月:16,320円(23.7%上昇)
2014年:14,753円 → 2月:18,865円(27.9%上昇)
2015年:17,714円 → 12月:20,012円(13.0%上昇)
2016年:15,921円 → 1月:19,615円(23.2%上昇)
2017年:19,280円 → 1月:24,129円(25.2%上昇)
2018年:21,851円 → 10月:24,448円(11.9%上昇)
2019年:20,110円 → 1月:24,115円(19.9%上昇)
2020年:21,919円 → 2月:30,714円(40.1%上昇)

このように、8月の安値で買ったとすると、その後、2ヵ月後~6ヵ月後には最低でも11.9%、最高では40.1%の上昇をしていることがわかりました。ここでもやはり、2018年だけが例外で、あとは「12月~2月」に高値になっています。

なお、「2月」が高値になっている年は、2月が直近の最高値である年もありますし、3月以降に引き続き、もっと高くなっている年もあります。

このようなわけで、8月に株を買っておいて「12月~2月」に売れば、「半年以内に約12%かそれ以上儲かる」というわけですが、「12月~2月」のどの月に、いくらで売ればいいのかは、事前にはわからないわけです。

そこで次に、1つの仮説を立てて検証してみました。それは、「毎年8月15日の終値で日経平均連動型のETFを買って、その翌年の2月15日の終値で売る。ただし、買い値から15%下がったらロスカット(売る)」という仮説を基にして、そのパフォーマンスを調べました(同日が営業日ではない年は翌営業日の終値を採用)。

これなら「8月の何日が最安値なの?」とか「いつ売ればいいの?」といったような、「神様にしか答えられない問題」を回避して、株式投資のズブの素人でも実践できますね。

そしてここでは、2010年8月15日の終値で100万円分を買ってスタートしたとします。資金は再投資することとし、複利で計算します。

なお、便宜上、手数料と税金は度外視します。(手数料と税金は、別会計で支払ったとします。また、以下の年末資金は、千円未満切り捨て)

     8/15終値   2/15終値  騰落率  年末資金(千円未満切捨)
2010年: 9,196円 → 10,746円 16.8%上昇 1,168千円
2011年: 9,086円 →  9,260円 1.9%上昇 1,190千円
2012年: 8,925円 → 11,173円 25.2%上昇 1,489千円
2013年:13,752円 → 14,393円 4.7%上昇 1,558千円
2014年:15,318円 → 18,004円 17.5%上昇 1,831千円
2015年:20,620円 → (17,527円)←ロスカット 1,556千円
2016年:16,869円 → 19,437円 15.2%上昇 1,792千円
2017年:19,280円 → 21,464円 11.3%上昇 1,994千円
2018年:22,204円 → 20,900円 5.9%下落 1,876千円
2019年:20,405円 → 23,523円 15.3%上昇 2,163千円
2020年:23,096円 → 30,084円 30.3%上昇 2,818千円

以上のように、この仮説に従って半年間の中期投資をすると、「11戦9勝2敗」で勝ち越し、11年間で資金が「約2.8倍」になっています。

複雑化を避けるためにここでは度外視した「手数料と税金」を考慮に入れると、概算ですが「約2倍」くらいのパフォーマンスになるでしょう。11年間で「約2倍」ですから、年率に換算すると「約7%」の利回りになります。上出来ですね。

このようなことから、「夏(8月15日)に買って、半年後に売る」というのは、かなり有効な投資成果を生み出すということがわかりました。

以上のようなことから、今年以降も「11分の9(82%)の確率で勝つことが見込めそうなので、向こう10年の長期的なプランで実践してみると、儲かるかもしれませんね。

Next: 過去50年間で同じ調査をすると結果は様変わり?

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー