ロボトラックでビジネス化を目指す小馬智行(pony.ai、ポニー)
百度に続いてロボタクシーの運行に積極的的なのが、小馬智行(pony.ai、ポニー)です。
希望者が予約をすれば乗れる公道走行試験が、広州市、北京市、上海市の3都市に広がり、100台以上の自動運転車が運行され、乗客数は29.5万人に達しました。また、上海では常態運行(毎日運行する)が始まり、正式営業まであとわずかになっています。
しかし、最初に触れたように、ロボタクシー単体では利益を上げることが難しいため、ポニーでは、ロボトラックの技術開発を2018年から始めています。すでに200日以上の公道走行試験を行い、2社の運輸会社と自動運転による配送路線を構築する計画が進んでいて、計画が実現すると3.7万kmの配送路線になるそうです。貨物輸送の大型トラックを自動化して、運転手の負担を減らす、あるいは無人化することを目標にしています。
しかし、大型トラックによるロボトラックは、乗用車のロボタクシーよりも、技術的なハードルが高くなります。貨物を積載しているため、車重が重くなり、ブレーキをかけても制動距離が長くなります。つまり、ロボタクシーよりもはるか前方から路上の対象物を認識し、状況判断をしなければならないのです。
また、ロボトラックが高速道路で事故を起こした場合、他の車両を巻き込む可能性が高いのも大きな問題です。ロボトラックが接触をして斜めに停止した場合、後続車はブレーキが間に合わず衝突をしてしまいます。この場合の社会的責任、賠償金などのリスクが相当に大きくなるのです。
港湾、工場内、作業場内などの閉鎖区域でのロボトラックであれば、技術開発のハードルは非常に低くなります。固定路線を低速で走れば要求を満たすことができ、通行人や通行車両も制限されているため、状況判断がシンプルになります。すでにこのような閉鎖区域では、完全無人運転のロボトラック、ロボカートが導入され使われるようになっています。
しかし、ポニーはあくまでも公道走行をするロボトラックを目指しているようです。
また、乗用車の製造に乗り出す計画も進めているようです。そのような報道をポニーは否定をしていますが、検討をしていることは間違いがないようで、スタートアップ企業でありながら、自動車の製造にまで踏み込むというのはかなりの挑戦になります。
百度ですら、製造はパートナー企業と提携する形なのですから、うまくいけばポニーがこの分野でのリーダー企業になる可能性もあるわけです。ダークホース的な存在です。
未来型の運転派遣会社を目論むディープルート
元戎啓行(ユエンロン、ディープルート)は、ポニーと対照的で、自動運転の技術開発のみに専念をする戦略です。自動車製造、ロボタクシー運営はパートナー企業に任せ、そのような企業に自動運転の技術を販売するというものです。百度と近い戦略です。
ディープルートはすでに武漢市で、30台のロボタクシーを投入して、全面開放型の試験運行を始めています。これは自動車メーカーの東風汽車との共同運営になります。また、2022年に開催される杭州市でのアジア大会に合わせて、カーシェアリングの曹操出行と共同でロボタクシーサービスを始めるため、杭州市で公道走行試験を始めています。
また、東風商用車と提携し、アモイの遠海埠頭で、コンテナを運ぶ無人カートを提供しています。埠頭は閉鎖区域であり、ほぼ固定されたルートを走行するため、技術ハードルは低く、すでに業務の中に組み込まれています。
つまり、ディープルートは、未来型の運転手派遣会社なのです。人の代わりに技術を派遣します。提携先も特定の企業と深く関わるのではなく、あえて広く提携先を求めているようです。
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・AutoXは「完全無人のロボタクシー」を目指している
・ウィーライドは「シェアリングによるビジネス化」に注力
・事業化の段階に差し掛かったロボタクシー、日本は追いつけるか?
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『知らなかった!中国ITを深く理解するためのキーワード』(2021年8月2日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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