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地方から死んでいく日本。豪雨・台風・大地震…さらに少子高齢化が重なり土地ごと見捨てられていく=鈴木傾城

西暦2030年から40年の間には起こる南海トラフ大地震

2021年2月26日。南極の棚氷から氷山が分離という事態が起きていたのだが、南極の棚氷、氷山が次々と分離するという事態が進行している。環境の変化が進んでおり、それが今までの自然とは違う環境を生み出している。

海面の温度が上がると、温められた海面から大量の蒸気が上がる。それがどこかの段階で常軌を逸する豪雨や台風やハリケーンやサイクロンや豪雪となって降り注ぐ。温暖化が止まっていない以上、災害がどこまでも巨大化していくのは避けられない時代に入っているのだ。

自然災害はそれだけではない。私が最も憂慮しているのは「次の巨大地震」のことである。日本は4枚のプレートが重なり合っている真上に位置している国であり、世界でも類を見ないほどの地震大国である。

今年は日本に壊滅的なダメージを与えた東日本大震災から10年経つ。東日本大震災の爪痕は今もあちこちに残されているのだが、日本人は誰もこれが「最後の巨大地震」であるとは思っていない。

30年以内には70〜80%の確率で、推定死者最大32万人になる「南海トラフ大地震」さえも起きることが「予測」されている。

南海トラフ大地震は言って見れば「西日本大震災」である。専門家は「西暦2030年から40年の間には確実に起こる」とも言っているほどだ。

具体的な時期はともかく、日本は間違いなく巨大災害の犠牲国と化す。「南海トラフ大地震」でなくても、それに近いような大きな地震も必ず発生する。想定していない場所で、甚大な被害が発生するだろう。

別にこれは予言でも何でもない。日本というのは世界で最も災害が起きやすい土壌に構築された国家なのである。

災害に見舞われたら再生不可能になる地方が続出する

多くの日本人はあまり意識していないが、多発する巨大災害は「地方を殺す」可能性がある。

1990年以後、日本はバブル崩壊と次々と上がっていく消費税と長々と続く緊縮財政のせいで国民の貧困化が加速してしまい、それに起因する少子高齢化も世界最悪のペースで進んでいる。

人口減は地方の共同体を壊し、莫大な過疎地と限界集落と消滅集落を生み出す。2015年4月から2019年4月までの4年間で住民がゼロになって消滅した集落は全国で164集落だったが、今後は3622集落が消滅すると総務省は2020年にデータを出している。

財源不足や少子高齢化による人口減が加速している地方で大災害が起きたら、復旧されるよりも見捨てられる地区がどんどん増えていく。

現に2017年に福岡と大分両県をまたがって発生した「九州北部豪雨」では4年経っても復興は終わっておらず、もう住民が戻ってこない。戻るどころか「出て行っている」のである。

政府も自治体も財源が無限にあるわけではない。少子高齢化によって税収が減っている上に高齢者にかける社会保障費が膨れ上がっている。

そんな中で災害の起きた場所が過疎か過疎に近い地区だった場合、もはや建物や壊れたインフラの復旧ができなくなって見捨てられるのだ。

つまり、人口の少ない地方、交通の便の悪い地方は、いったんインフラが破壊されるような災害に見舞われたら、再生不可能になる危険が高まる。限界集落などは被災した時点で、地域ごと捨てられることになる。

Next: 「少子高齢化」解消が不可欠。地方再生の道はこれしかない

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