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中国オタク市場はJK制服・漢服・ロリータで回る。日本の中古制服も人気、女子が「三坑アパレル」を着る理由=牧野武文

中国のファッション市場に深く浸透、成長している「JK制服」産業

中国の伝統服を現代風にアレンジした「漢服」は、すでに存在感のある産業に成長しています。コスプレやパーティー服、室内着だけでなく、ここ1〜2年は、アレンジをした漢服を着ている人も街中で見かけるようになっています。もちろん、割合としてはごくわずかですが、漢服姿で平然と買い物をしたり、お茶を飲んだりしています。

JK制服もこの漢服と同じ規模の産業に成長してきているというのが、レポートの趣旨です。

複数のレポートを読んで、以前から疑問に感じていたことが氷解しました。それは2〜3年前から制服っぽいファッションの女性を街中で見かけることが増えていたからです。制服然としているわけではありません。チェック柄でプリーツのあるミニスカートを履いている女性を見かけるようになっていたのです。上は、カッターシャツだったり、中にはヨットパーカーのようなものを着ていたりといろいろです。

スカートは確かに制服風ですが、上は違います。なので、制服からの影響ではなく、単なるスカートの流行なのかと思っていました。しかし、レポートを読むと、どうやらそれもJK制服の影響だったようです。

そう考えると、漢服よりも広がりは大きいと考えることができ、当然ながら、それを支える産業も大きくなっているはずです。

どのような産業構造になっているか。それが各種レポートで解説されています。なお、中国でも「JK制服」(ジェーケージーフー)という言葉が定着しています。JKが日本の女子高生の略語であることも認識されています。

単価が高く産業規模が大きいオタクファッション

このような「漢服」「JK制服」そして「ロリータ」ファッションのアパレル産業は「二次元アパレル」「三坑アパレル」などと呼ばれます。二次元はアニメのことで、三坑は「3つのハマりもの」という意味です。坑は穴のことで、日本語の「沼」に近い感覚の言葉です。

中国のオタクたちの間では、1つのことにハマっている人は、まだまだニワカで、最低3つのことにハマっていないとオタクとは呼べないという空気感があります。三坑とはさまざまなことにハマっていることを表現した言葉で、「三坑少女」という言葉は流行語になりました(男性の場合は、三坑青年となりますが、この使い方はあまり多くは見かけません)。

一般的な三坑の内容は、今であれば、盲盒(マンフー、ブラインドボックス)やフィギュア、アニメ関連グッズ、アイドルグッズなどが入ってきます。盲盒は、箱に入ったシリーズもののミニフィギュアで、開けて見るまでシリーズフィギュアのどれが入っているかわからないようになっています。つまり、コンプリートすることが楽しみであり、箱買いという現象も起きています。

しかし、このようなグッズ類は、100元以内の買いやすい価格になっているものがほとんどです。

ところが、三坑アパレルは服ですから、200元以上から1,000元ぐらいの価格帯になります。私のような中年男性から見れば、札幌襟も関東襟も似たようなもので見分けがつきませんが、三坑少女にとっては大違いです。TPOに合わせて使い分けるため、次から次へと購入します。

つまり、三坑グッズとしては、単価が高く、産業規模が大きくなりやすく、スタートアップ企業もうまくハマれば成長速度が早い。この辺りが、証券会社(つまりは投資家)が注目をしている理由です。

Next: ネット通販がほとんど。漢服・ロリータ・JK制服の市場規模は?

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