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菅さん退陣だけじゃない株高の理由。「誰が買っているか」から予想される上値余地は?=馬渕治好

【中長期シナリオ結論】(2021/9/5時点)

<中期シナリオ~2021年末に向けて>

経済や企業収益の回復は、かなり明確になってきた。ただし、回復基調は、これから極めて緩やかだろう。したがって、だいぶ将来までの企業収益回復を織り込んでいる株価の高さと、実体経済の低空飛行の差が、高PERという形で表れている。だから株価が基調として下落に向かうかといえば、そうではなく、市場は、上の位置で実体経済・企業収益が追い付いてくるのを待つだろう(結果として、時間をかけてPERが低下する)。主要国の財政・金融政策も、景気と株価の下支えに働いている。

2021年を通じて、主要国の株価や外貨相場(対円)は、短期的な上下の振れを繰り返しながらも、諸データに示される緩やかな世界経済の回復を踏まえながら、基調としては、持ち合いに上昇の色合いがついたような、じわじわとした株高・外貨高傾向を続けるだろう。

ただし日米の株価動向を比較すると、米国では、企業収益予想値の上方修正が急速であることに比べ、株価の上昇速度は緩やかで、結果として予想PERが総じて低下傾向にある。すなわち、株価の上昇が企業収益の改善に比較して控えめであり、その分、株価のさらなる上昇余地がある。とは言っても、米株価指数は史上最高値の更新を最近まで続けてきたため、基調としての株価上昇速度は一段と緩やかだろう(これから上昇の最終局面を形成しよう)。

一方日本株は、最近の株価下落で予想PERは低下し、割高感はない。企業収益も輸出大企業製造業中心に改善が進んでいる。ただし、「中国リスク」(幅広い分野での中国に関するリスク)や国内政治情勢などが不透明で、しばらくは一進一退から二進一退へ、といったような形となり、株価が上昇基調を明確にするにはまだ時間が必要だろう。当初は引き続き米国株が先行する株価上昇、年末が近づくにつれて日本株が挽回、という展開を予想する。

日経平均株価は、短期の底値形成を終えて、年末に3万円超えまで戻るにとどまろう。今年2/16(火)にすでに付けた高値(終値で3万467.75円、ザラ場高値で3万714.52円)を今後上回るかどうかは、微妙な情勢だと判断する。ニューヨークダウ工業株指数は、年末までに3万7,000ドル前後に達すると見込む。

外国為替相場については、徐々に世界経済が明るさを増す中で、外貨高・円安基調を予想する。外貨の中では、投資家のリスク回避姿勢が薄らぐと期待されることから、これまで優位であった米ドルより、ユーロや豪ドルなど、非米ドル通貨の方が、対円での上昇力が高いと予想する。

<長期シナリオ~2022年>

米連銀は慎重な姿勢を崩しておらず、米国の景気や株価の回復にかかわらず、量的緩和の縮小開始は2021年終わりころから2022年前半だろう。利上げ開始は2022年終わりころから2023年前半を見込む。

米マクロ経済が好調だからこそ緩和を縮小するわけであり、また縮小のペースは極めて遅いだろう。そのため、本来は、緩和縮小は大きな波乱要因にはならないはずだ。しかし、米国の企業や投資家、市場はあまりにも金融緩和に依存してきたため、金融政策の修正が大きな波乱を引き起こす恐れがある。

具体的には、
1)脆弱な米国内産業・企業の破綻、
2)米国における、社債の発行市場の好調さに依存した企業の資金調達の変調と、それが自社株買いの減退につながる恐れ、
3)世界的に、低金利による運用難でリスクをとっていた投資家が、長短金利の上昇で一気に利回り物に資金を移動する可能性と、それを材料にした株式売りなどが嵩む展開、
4)株式の信用取引や、ジャンク債(格付けの低い債券)、その他高リスク取引を拡大していた投資家の破綻、
5)米ドルに依存してきた新興国の苦境(米ドル建て債務の借り換えの困難化、米ドル高・自国通貨安を防衛するための望まない利上げなど)、
といった懸念が本格化すると考える。

このため、日米等主要国の株価は、一時的であったとしても、大きく下落する局面があるだろう。日米の主要な株価指数は、2022年は、2021年の安値を大幅に割り込むと懸念する。

<超長期シナリオ~2023年以降>

極めて長期的には、世界的な景気拡大基調が続くだろう。それを支えるのは、新興諸国を中心とした人口増であり、技術革新、新商品・サービスの開発だろう。

2022年の波乱があれば、その試練をくぐり抜け生き残ることができた企業や投資家は、極めて強いものだろう。

10年単位で展望すれば、株式等リスク資産を保有すべきだと考える。

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馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2021年9月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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