JR東日本を上回るJR東海の借入金
さらに言えるのが、借金がものすごく嵩んできています。
総工費9兆円と言って、さらにここからすでに1.5兆円増えているわけですから、借金をすでにかなり抱えています。
業績もキャッシュフローもこれまで非常に好調だった会社なんですけれども、実はリニアのために、すでに鉄道運輸機構から3兆円を借り入れているのです。これによって借入金に関してはJR東日本を上回る金額です。
JR東日本の方が規模としては大きいですから、それを上回るということは大変なことです。
さらに言えば、手元の厳禁というのは実は数千億円しか持ってなくて、この何兆円という投資を行おうと思うと、やはり引き続き借り入れを行っていかなければならないということになります。
トータルの総工費が10兆円だとするならば、例えば今は3兆円借り入れてますが、さらに7兆円くらい借り入れる必要もあるのではないかということが考えられるわけです。
もちろん一部は返しながら調達していくというところもあるでしょうが、まだまだ膨らんでもおかしくないということになってきます。
JR東海は今コロナの状況も大変なのですが、それ以上にリニアというのが株価を引っ張っていますし、経営も難しくしているわけです。
このリニアの問題点というのはまだまだありまして、今まで言ってきただけで、開業時期や総工費が不透明になっており、借入金や支払利息が増大するリスクがあるわけです。
借金をしているということは、その分利息を払わなければなりませんから、この借金の金額が増えれば増えるほど、利息も増えますし、また、今後、金利が上昇してくることがあるとするならば、それだけ支払うべき利息というのは、まだまた増えてしまうということになります。
もっと言えば、借入金が増えるということになると、財務状況が悪化するということですから、格付け会社からの格付けが下がってしまうと、借り入れる時の金利が上がってしまいます。
そうなると、損益計算書における利益を押し下げてしまう一つの大きな要因となってしまいます。
在来新幹線とリニアで客の奪い合い
また、ビジネス上も決して筋の良いものではないという風に考えられます。
というのも先ほどリニアと新幹線で二重にするという話がありましたけれども、実は新幹線がリニアに移るのではなくて、新幹線は残したままなのです。
となるとリニアは新幹線の顧客を奪うだけなのではないかというところがあります。
例えばこれまで新幹線で東京から名古屋や大阪に行っていた人は、一部はリニアを使うこともあるでしょうけれども、当然リニアの料金は高くなるでしょうから、その値段の差については考えてしまうところがあります。
少なくともかなり高い金額にすると、誰も乗らないということになってしまいます。
もしリニアに乗ったとしても、リニアにはプラスだとしても、新幹線はマイナスになってしまいます。
もしリニアが今まで結んでいないような大都市を結ぶようになったら、さらにプラスアルファが望めるのでしょうけれども、これは東京大阪間という既存のルートをなぞるだけということになっています。
したがって売り上げはプラスマイナスゼロで、リニアの料金値上げ分が少し貢献するかなというところなのですが、それが結局あんまり高いと誰も乗らないというところになってきます。
もっと言うならば、このリニア大深度地下ということで、実は品川駅も名古屋駅も大深度地下なんですけれども、となると駅に着いてから新幹線に乗るまでに移動しなきゃいけませんから、その間に15分ぐらいかかると言われています。
両側で15分ずつとられてしまい、トータル30分です。さらにその間を40分で結んだとしても、結局30分と40分で1時間10分かかってしまいますから、実は新幹線とそんな変わらないということにもなってしまいかねません。
そんな中で高い料金を払ってリニアに乗る理由は、観光ならともかく、ビジネスとして乗るのは少しどうかなというところはあります。ましてやこのコロナの環境ですから、高いお金を払ってリニアに乗るぐらいなら、もうzoomで済ましてしまうような人も少なくないかもしれません。