リニアの懸念
このJR東海は、実はコロナになる前もPER10倍未満という、非常に低い数字で評価されていました。
なぜかというと、リニア新幹線に対する投資家からの懸念がとても大きいからです。
そのリニア新幹線について改めて振り返ってみたいと思います。
これが中央新幹線計画通称リニアです。

出典:JR東海
これによって東京名古屋間が40分で結ばれるということになっています。
もしこれができたら、確かに今新幹線を使って移動している区間、さらにこれが名古屋から大阪まで行けるということになると、東京大阪間が新幹線で2時間半というところが、1時間と少しぐらいでおさまり、利便性は高まるだろうということが挙げられます。
これが数年前に発表されたのですが、2014年10月に工事計画の認可を受けたという状況です。
この段階では総工費は9兆円かかって、2027年に品川名古屋間が開業する予定でした。
ところがこの計画始めてみるとそう簡単にいかない部分がいくつも出ています。
なんと静岡県知事が工事に反対しています。
つい最近も再選したので、少なくとも任期はまだ6年あるということになります。
静岡県の南アルプスを少しだけ通るということになっているのですが、そこの水資源に影響を与えるというということで知事が反対しています。
この静岡県の部分だけではなくて、品川では今すごく道路を工事しているのですが、その部分が大深度区間と言われていて、東京の地下鉄とかがたくさんありますから、そのさらに下を掘っているところなのです。
これがかなり難工事になっているため、これまで想定されていた以上に期間と費用が嵩んでしまっています。
これによって2027年度の開業というのは、もうすでに断念しています。
もう間に合わないという白旗を上げてしまっているのです。
とにかく静岡が繋がらないことには何ともなりませんから断念しています。
さらに品川名古屋間で総工費5.5兆円を計画していたのですが、大深度区間の品川駅周辺や名古屋駅周辺の工事が非常に難しく、5.5兆円と見積もっていたものが7兆円まで膨らんでしまっているのです。
しかも、これで確定ではなくて、もっと難しいということになれば、さらにこれが膨らんでいく可能性があります。
そうでなくても時間がかかれば、それだけコストも当然かかってきます。
時間も、いつ開業するのかも見えないという状況の中で、果たして大阪まで繋がるのは一体いつになるのだろうかというわけです。
実際に経済の結び付きというところを考えると、やはり名古屋まででは不十分で、少なくとも大阪まで繋がって初めてこのリニアが意味があるというように見えます。
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