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衆院解散で選挙戦突入、アベ疑惑よりも“税金”を争点にしたい与党の思惑。れいわ「消費税廃止」、高市氏「現預金課税」に早くも賛否噴出

14日午後に開かれた本会議で解散となった衆議院。政府はその後の臨時閣議で、衆院選日程を「19日公示、31日投開票」と決定。事実上の選挙戦に突入した格好だ。

岸田首相が就任してからわずか10日後の解散は、総理大臣の就任から解散までの期間としては、戦後最も短く、さらに衆院議員の任期満了(21日)を超えての衆院選は、現行憲法のもとでは初めてとなる。

れいわ公約「消費税廃止」がトレンド入り

前回の衆院選が行われたのは2017年10月のこと。衆議院議員の任期を1年余り残すなか、当時の安倍晋三首相は突如解散を決め、選挙戦では安倍政権継続の是非、さらに憲法改正の是非などが主な争点となったが、結果は自民党が選挙前と同じ284議席を獲得。公明党と合わせて憲法改正の発議に必要な全議席の3分の2を上回る議席を確保するという、与党側の圧勝に終わった。

今回の衆院選では、政府によるこれまでの新型コロナウイルス対策の是非にくわえ、ポストコロナを見据えた経済対策などが主な争点となりそう。特に岸田首相が打ち出した「新しい資本主義」に関して、野党側は先の自民党総裁選では格差是正を主張しながら、就任後に金融所得課税強化を先送りするなど、組閣からわずか1~2週間にして早くもブレまくっている岸田首相のスタンスを突く構えだ。

いっぽうで、13日にはれいわ新選組が選挙公約を発表したが、その目玉政策である「消費税廃止」がSNS上でさっそくトレンド入りするなど大きな話題に。

その反面で自民党の高市早苗政調会長は、同じく13日に出演したBSの番組で法人税に関して、企業の現預金課税を検討しているとの私案を明らかしたが、これに対しては「法人税との二重課税だ」などといった批判が集まるなど、物議を醸している。

さらに、岸田首相が一度はひっこめた金融所得課税にしても、その変節ぶりから選挙後にさっそく復活させるのではとの推測もネット上ではあがっている状況。今回の選挙では、こういった税にまつわる問題も大きな争点となっていきそうである。

「モリカケ桜」を掘り起こされたくない与党の思惑

コロナ渦による経済停滞の影響も大いにあってか、多くの国民にとっては今後の生活がどうなるのかが最大の関心事となっているなか、今後の展開が気になるのが「モリカケ桜」といった、過去の安倍政権による疑惑の置き土産に関する問題だ。

今回の衆院選には、国などから補助金をだまし取ったとして詐欺罪などに問われて目下係争中の、森友学園前理事長の妻・籠池諄子氏が、「森友問題の再調査」を掲げて大阪5区から無所属で出馬すると表明。さらに日大背任事件で逮捕された医療法人前理事長が、実は「アベ友」だったと判明し、「モリカケ桜」に続く新疑惑と話題となっている。

このように、なんとなく有耶無耶にされてきた過去の疑惑に関して、改めて向き合ったうえで真相を明らかにして欲しいとの声も根強いものの、選挙の争点としては正直いまひとつ埋没気味な状況だ。

【関連】日大理事ら逮捕も「アベ友」案件?病院建設めぐる背任で2.2億円流出。モリカケ桜を争点にしたくない自民党だが籠池氏妻は「衆院選出馬」表明

「モリカケ桜」を争点として掘り起こされたくない自民党としては、これは絶好の展開と言えそうだが、そのいっぽうでSNSを使った世論操作という、政治そのものへの不信をも招きかねない疑惑も浮上。これまで野党への攻撃を繰り返してきた一定の影響力を持つツイッターアカウント「Dappi」が、実は自民党を主要取引先にするIT関連会社が運営していたことが判明したのだ。

このように、ここに来て新たな火種も抱えつつある与党側だが、そのいっぽうで野党側も、岸田首相による日程の大幅前倒しもあってか、れいわ・山本太郎氏の選挙区出馬を巡ってドタバタが起こるなど、“共闘”に向けての体制は十分に整っていないという印象も。

政治全体に対しての疑心暗鬼さえ国民の間で広がるなかの選挙で、果たして与野党どちらへの支持が広がるのか、大いに注目が集まる。

Next: 「企業の現預金課税導入で空前絶後の…」

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