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『イカゲーム』世界的ヒットの裏に韓国若者のSOS。就職できず将来に絶望、借金で投資する「一か八か」のリアル=勝又壽良

文政権は“有害無益”な存在。国民生活に直結する経済政策で大失敗

文政権が発足したのは、2017年5月である。それ以来、経済政策は失敗の連続である。

1. 賃金政策では、最低賃金の大幅引き上げによって、逆に失業率を高めた
2. 不動産政策では、住宅需要を抑制する一方、住宅供給も抑えて価格高騰を生んだ

以上のように、国民生活に直結する経済政策で大失敗した。最大の理由は、現実を直視せずに実証したことのない政策を「公正」という美名に酔って行ったことである。経済政策は、「実証の学」である。文氏の政策は、世論に阿(おもね)る政策であり、「曲学阿世の徒」と言われる類いだ。韓国の不幸を増幅させたのである。

韓国の失業率は次のように、文氏が大統領就任(2017年)してから悪化した。

2015年 3.60%
2016年 3.70%
2017年 3.70%
2018年 3.85%
2019年 4.15%
2020年 4.00%(大量の公的アルバイトを採用し糊塗)
出所:ILO統計

2018~19年は、明らかに最低賃金の大幅引上げが失業率を高めるという、常識では考えられない事態を招いた。昨年は、新型コロナウイルスで世界中が混乱した。その中で、韓国が改善したのは、公共アルバイトの大量採用である。

文氏が、大統領に就任してソウルの住宅価格は8割も上昇した。住宅価格の高騰抑制には、住宅供給を増やして先高観を沈静化させることである。文政権は、住宅供給を軽視したので、市民の住宅先高観を一段と高める結果となった。

以上のように、文政権は人間生活に不可欠な「衣食住」のうち、食=雇用と、住=住宅の2面で失敗した点で有害な政権になった。

国民こそ、大変な迷惑である。まさか、その不満を政府へ直接向ける訳にいかないので「自衛」に走った。それが、哀しいかな「イカゲーム」となって現れたのだろう。

20~30代の借金が膨大

住宅高騰を見た若者は、生活防衛で銀行借入に走った。文在寅政権の4年間(2017~21)で、20代の銀行ローン残高は2倍以上増えたが、その後も膨らんでいる。昨年1年間で20代への銀行貸付残高は32兆7,000億ウォン(約3兆1,065億円)から44兆5,000億ウォン(約4兆2,275億円)へと36.1%増加した。全年齢の平均増加率の11%を大幅に上回った。

昨年1年間で、銀行借入残高が36.1%も増えるとは異常である。当然、ローンで長期返済とは言え、月々の返済が家計を圧迫する。果たして、生活できるだろうかという他人事ながら心配するほどの急増ぶりである。これは当然、個人消費支出を抑えるはずだ。

30代への銀行貸付残高も、昨年1年間で17.5%も増加した。20~30代の借り入れの大半が、マイホーム購入や株式・仮想通貨への投資にも投じられたと推定されている。

この背景に、政策金利が年利0.50%と最低水準へ引下げられたことの影響もある。この超低金利を利用して住宅ローンを組んだのであればまだ救いようもある。

だが、株式や仮想通貨などの金融取引に使われたとなれば、事態は変わってくる。

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