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ガソリン価格高騰、エネオス株は買いか?配当利回り4.8%、オワコン石油業界をどう見るか=栫井駿介

足元で原油価格が上昇しています。原油価格で連想されるのが、石油関連会社です。しかし、石油関連というと地球温暖化の最大の敵とも見られていて、事業自体も衰退産業ではないかと思われてなかなか手が出せません。そんな中で石油会社として日本を代表する会社にエネオス<5020>があります。このエネオス、実は配当利回りが5%近い高い水準になっていて、配当狙いの投資家にとっては非常に魅力的な銘柄にも見えるわけです。果たして買ってよいのかどうかについて、解説したいと思います。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

石油はオワコン?

まず原油価格ですけれども、足元で大きく上昇しています。

出典:SBI証券

原油(WTI原油先物)週足(SBI証券提供)

コロナショックで一時原油価格は大きく引き下がったのですが、一方でコロナが落ち着いてきて一部で経済活動が再開されたりすると、石油に対する需要が高まり上昇基調になってきました。

原油価格が上がってきたら一般的に石油輸出国機構(OPEC)が増産を行うことが多いのですが、今回はその増産が見送られたということでさらに原油価格上がっているという状況です。

これがWTI原油先物という代表的な指標で、1バレル80ドルを超え、なんと7年ぶりの高値になっているのです。

原油価格が上がったということになると、短期的な投資家の目線としては関連銘柄がないかということを考えるわけです。

そうやって石油関連の銘柄を当たっていくと行き着くところが、このエネオス<5020>です。

PER10.5倍、PBR0.61倍、配当利回り4.82%と、いわゆるバリエーショ指標を見ると結構割安感があるという銘柄です。

ENEOSホールディングス<5020> 日足(SBI証券提供)

ENEOSホールディングス<5020> 日足(SBI証券提供)

特に配当に関しては5%近いということで、配当が欲しい投資家にとっては非常に魅力的な銘柄です。

一方で、ネガティブ要素も多く浮かぶ銘柄でもあります。 何より石油は衰退産業なのではないかという風に見えるわけです。

今世界で流行っているのが電気自動車ですよね。 電気自動車はガソリンを使いませんからガソリンスタンドも要りません。 さらにこの脱プラの流れで減った買い物袋も石油製品です。

脱炭素の流れで石油をどんどん使わないということになると、いよいよ衰退産業なのではないか、ましてそれを日本でやってる会社ですから、脱炭素がなかったとしても人口の減少によって、ますます石油需要が減っていくということが想定されます。

ESG投資にも逆行しています。 ESGとは、『環境・社会・ガバナンス』で、まさにこの環境によくない投資ということでそもそも機関投資家がこういった企業を買うのを避けようという動きになっています。 そのせいで株価も上がりにくい環境になっています。

事業とは別のところで投資資金が入りにくい状況となっています。

また、原油価格が足元で上昇してきたと言っても、上がるときは上がりますが下がる時は大きく下がります。 このコロナショックの時は、原油の需要が無くなったということで原油の行き場がない置いておく場所すらないということで、一時先物価格に関してはお金を払ってでも売りたいというマイナス価格もついたほど、変動が激しいものです。

従ってこの原油価格の変動だけに賭ける投資というのは、ある種ギャンブルに近い動きとなってしまうわけです。

これらを見ているとどうしても良くないイメージが先行してしまう銘柄でもあるわけです。

ただ逆に私たちバリュー投資家から見てみると、こういうネガティブ要素というものはその企業の株を安く買えるチャンスにもなり得ます。

安く据え置かれているということです。

長期的な株価というのはやがてはその企業、株式が持つ本質的な価値というところに収束していきます。

人気がないといったネガティブ要素によって本質的な価値より低いところで株価が抑えられているのだとしたら、それは絶好の買い時になってくるわけです。

先ほどPER、PBR、配当利回りというバリエーション指標を示しましたけれども、これらが非常に魅力的な水準に見えるのも不人気であるからこそです。

では、そういった銘柄のなかで、どういった銘柄だったら買えるのかというと、事業がしっかりしていて、人気はないけれども、今後もしっかりと利益を出し続けられる企業、キャッシュフローを生み続けられる企業であれば、これは投資対象に十分なり得ると考えるわけです。

なぜなら、株価が何倍にも上がることはないかもしれませんけれども、一方で配当がしっかりと支払われていて、あまり下がるとその割安感を見込んで買う投資家というのも一部いますから、どこまでも下がり続けるというようなことはほぼ無いわけです。

こういったこともあって、実は私がこの投資顧問サービスを始めた時の最初にお勧めした推奨銘柄がこのエネオス、当時のJXTGホールディングスだったのです。

Next: 販売価格は精製マージンと在庫量で決定。粗利はそこそこ安定している

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