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「海外銀行口座を作っただけなのに…」投資家を悩ませる口座凍結リスクと手間。どんな人が持つべきか?=俣野成敏

なぜ海外で銀行口座を作ったのか?

織田:彼らが口座をつくった理由は、主に2つあったと思います。

1. 「以後、海外銀行口座を開設できなくなる」という危機感
2. 「海外にお金を置いておけば、国に財産を把握されないのでは」という期待

(1)に関しては、すでに現実のものとなっています。基本的に、現地居住者以外は口座開設を認められていません。

(2)に関しては、まったくの勘違いです。現在は、共通報告基準(CRS)という制度があります。これは、OECD(経済協力開発機構)内において、脱税防止の観点から、非居住者に係る金融口座情報を自動的に交換するための制度です。たとえ海外にお金を置こうとも、国税には筒抜けでしょう。

本来、銀行口座とは必要に迫られて開設するものです。よって、「将来は持てなくなるから」という理由で口座を開設すれば、投資難民になってしまうのも、ある意味、仕方がないのかもしれません。もともと、使う用途がないですから。

俣野:かつては、海外の銀行口座といえば、口座維持手数料を取るのが一般的でした。でも、日本人がよく利用する香港HSBCに関してでいうと、2019年に、プレミア口座などを除いた通常口座の口座維持手数料が廃止されています(JETRO、2019年7月16日)。

つまり、サービスは良くなっているわけですが。

織田:確かに口座維持手数料はかからなくなりましたが、HSBCでは24ヶ月間、動きがない口座を凍結するようになっています。

凍結されると、現金の移動ができなくなり、基本は現地に行かないと解除できません。

どんな人が「海外銀行口座」をつくるべき?

俣野:今、海外に銀行口座を持ちたい人の中には、「将来的に海外投資をすることも考慮して、まずは口座だけでもつくっておこう」と考えている人も多いと思います。

それについては、どう思われますか?

織田:口座をつくるべきなのかどうかは、「何に投資をするのか?」と「使用頻度」によっても変わります。

仮に海外の証券口座をつくり、「それで株の売買をしたい」ということであれば、海外の銀行口座があったほうがいいでしょう。

たとえば香港のBoom証券は、マネックスグループの傘下にある個人向けオンライン証券会社です。Boom証券は、郵送で口座が開けますが、申込書と一緒にHSBCの個人小切手を1万香港ドル以上同封すると、個人認証の手間が省けます。

株取引のように、頻繁にやり取りを繰り返す投資をしたければ、海外銀行口座を開設する意味はあると思います。

しかし、それ以外の海外不動産投資や、海外の一括支払い型の保険に加入したりする場合は、話が違います。

Next: どんな投資をしたいのか?口座凍結のリスクは大きい

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