新型車が好調。「量から質」への転換で利益率が向上した
なぜかというと、先ほど売れる車がないのが日産の最大の問題だと言いましたけれども、ゴーン氏がいなくなってから、再び良い車を作るということに磨きをかけていまして、2021年度には新型車が比較的好調な推移を遂げているわけです。
各セグメントにおいて、シェアをかなり盛り返してきているというところがあります。
しかも、高くても買ってもらえる良い車を作る方にシフトしていて、これによって利益率の向上が起こるわけです。「量から質へ」ということです。
これも決算説明資料の中にあるものですが、台当たり売上高、つまり1台がどれだけの値段で売れているかということなのですが、これが2021年度今四半期に関しては11%上昇、新車が出回らないという環境要因もあったかもしれませんが、これまで安かろう悪かろうだった日産の車を、高くても買いたいものとしました。かっこよくて高級感のある車を売ってるのではないかと思います。
これでプライシングパワーが11%上昇しましたし、また生産の部分に関してもコスト削減努力を地道に行っていて、これが15%改善したことで、損益分岐点の販売台数が15%改善し、日産のゴーン氏なき後の改革というのは、着実に進んでいると見ていただいていいのではないかと思います。
さらにこの2021年というと、社運を賭けた新型アリアを投入する予定となっています。
これは確かに1つ懸念としては、半導体不足によって生産自体が追いついていなくて、欲しい人に届いていないという状況が続いているわけですけれども、車を買いたい人は待ってでも買うという状況にもなっています。
新しい日産のビジョン「車1台の価値をいかに高めるか」
今回の日産の決算説明会はYouTubeで見ることができます。
アシュワニ・グプタCEOが力を込めて言っていたことは、日産のこれからの経営はバリュー、つまり価値にフォーカスする、車1台の価値をいかに高めるかというのが、これからの日産のビジョンだと言っています。
さらに足元の状況に関していえば、ゴーン氏の時はどう販売するか、値下げをしてでも顧客にねじ込んで、あるいはレンタカー屋さんに買ってもらうなど、いかに販売するかというのが目標だったのですが、今はそういう状況になく、あくまで客が欲しい車を売る、生産がなかなか追いつかなくて迷惑をかけている状況ですけれども、しかしそれは供給側の問題であって事業側にはしっかりとしたものがあるというふうなことを、自信を持ってプレゼンしていました。
ここから日産の自信がうかがえるのではないかと思います。
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