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賃金上がらぬ“悪いインフレ”で「2%物価目標」達成目前。原油高が日銀に出口を用意した=斎藤満

米国・英国もインフレ抑制のために緩和縮小へ

OPECからすれば、原油価格が上がって具合が悪ければ、世界最大の産油国である米国が自ら増産すればよい、となります。

ところが、米国系の石油メジャーも原油相場が大きく上昇するなかでも増産姿勢を見せず、相場上昇で利益を拡大する姿勢を見せていました。

そうなると、変異株ショックでいったん相場が冷やされても、原油価格はまた上昇するリスクが高いとみられます。

その場合、一部の国がすでに利上げに転じ、インフレ抑制の姿勢を強めていますが、米国・英国もこれに続いて緩和の縮小、政策金利の引き上げに動くとみられます。

変異株ショックの前ではありましたが、前回のFOMC議事要旨を見るとFRB幹部の見方はインフレ警戒に強く傾き、テーパリングのベースアップ、利上げ前倒しを示唆していました。

その中で唯一、主要国の中では日本だけが依然として「デフレからの脱却」を掲げて緩和の姿勢を続けているのが目立ちます。

コロナ変異株で安全資産の円が買われ、円高になったこともあり、当局の間ではますます緩和の見直し機運が後退しています。

日本にもインフレの兆候

しかし、これまでの例から見て、欧米で起こっていることは、やや遅れて日本にもやってきます。日本だけ別枠とはいかないことのほうが多くなっています。

現に日本でもガソリンや灯油の価格が前年比25%以上上昇し、エネルギー価格の上昇が物価を0.7%程度押し上げるようになっています。

そして、エネルギー価格の上昇が輸送コスト高や燃料コストの上昇を通じて、一般物価を押し上げ始めています。

すでにクリスマス用のケーキに使うイチゴが、温室の暖房費の上昇や輸送コストの上昇から高くなり、小麦粉や食料オイルの価格上昇も、広範囲で食材の価格上昇をもたらそうとしています。

少なくとも年明けには多くの食材が値上げを余儀なくされるといいます。

日本の消費者物価は、携帯通話料の引き下げが物価全体を1.5%近く押し下げているため、エネルギー価格の上昇を目立たなくしていますが、通話料の値下げ効果は1年後にはなくなります。

来年春以降は、消費者物価の上昇率が突然高くなり、政府日銀の物価目標2%も達成される可能性が高まっています。

現に、この10月の全国消費者物価も、通話料を除くと前年比1.6%の上昇となっています。

Next: 賃金上がらず、来年春には2%の物価目標達成か

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