コモディティ市場は上昇トレンド継続
前号で「コモディティはいよいよ上昇基調に入った可能性が高まっています」としました。一週間の動きを見ると、そのような思いをさらに強くする動きだったように思います。
金相場は1300ドルに迫る勢い、非鉄市場も回復基調が鮮明です。そして、何より、原油相場が下がらなくなってきました。いよいよ、コモディティ時代の再来となりそうです。
1994年や2009年の動き再現も?
私が思い出すのは、GW後にコモディティが急伸した1994年や2009年の動きです。GW後に大幅に上昇したときは、いずれもそれまでに大幅な調整がその前にありました。その後はほぼ棒上げとも言える上昇となり、想定を超える上昇相場になったのです(後述のマーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件でも触れています)。
市場の関心は、原油相場の底堅さに向かっているようです。産油国会合のブレイク(決裂)にもかかわらず下がらなくなっています。これは非常に不思議に見えますが、これこそが強い相場のパターンのように感じます。
これだけ弱材料が揃っているのに下がらない。まさに、トレンドの転換期に見られる事象です。そして、ファンダメンタルズ要因があとから付いてくる。これが本当に強い相場であり、底値から上昇に転じる際に見られるパターンです。
09年のときもそうでした。30ドル割れ目前まで売り込まれたのに、結局は数年掛けて100ドルを回復しています。結局は、売られ過ぎた相場は戻すということなのでしょう。今回のコモディティ相場も、過去の経緯から見れば、かなり売られ過ぎです。それも、ドル高でさらに助長された面があり、ドル高に変化が見られるわけですから、これから基調は変わっていくのだと思います。
とはいえ、やはりファンダメンタルズも気になります。注目しているのは、やはり米国内の原油生産量で国内の原油在庫です。増加傾向は変わっていないのですが、産油量は減少傾向が続いています。これからガソリン需要期に入りますし、石油製品を含めた石油在庫全体が減少に転じれば、これはかなりの強材料として意識されるかもしれません。
円高・株安・商品高
私は、これから4年程度は「コモディティの時代」、とまではいかなくとも、コモディティに注目すべき動きがみられると考えています。これは、円高・株安とともに、昨年から言い続けてきたことです。もちろん、金にも関心が向かうでしょう。先週の金相場の動きを見ると、その予兆といえそうです。
金と原油。この中心的な銘柄を良く見ながら、全体の投資対象の選定と投資タイミングを計る必要がありそうです。
「商品先物は胡散臭い。」このように考えている投資家は、今後4年間、苦しむことになるでしょう。
『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2016年5月2日号ではこの他にも、以下の内容を詳しく解説しています。
今週の「ポジショントーク」~コモディティを主軸に
ヘッジファンド投資戦略~「解約が続くヘッジファンド投資」
マーケット・トピック~「サウジアラビアの戦略」中東で何が起きているのか?
マーケット人生物語~私の人生を変えたアノ事件
次回は5月9日配信予定です。興味のある方はぜひこの機会に初月無料の定期購読をお願いいたします。本記事で割愛した購読者限定記事もすぐ読めます。
『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』(2016年4月4日号)より一部抜粋
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株式・為替・コモディティなどの独自の市場分析を踏まえ、常識・定説とは異なる投資戦略の考え方を読者と共有したいと思います。グローバル投資家やヘッジファンドの投資戦略の構築プロセスなどについてもお話します。さらに商社出身でコモディティの現物取引にも従事していた経験や、幅広い人脈から、面白いネタや裏話もご披露します。またマーケット関連だけでなく、野球を中心にスポーツネタやマーケットと野球・スポーツの共通性などについても触れてみたいと思います。