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日経14700-15250円、1ドル102円が目先ターゲット~歴史的転換点の可能性も=江守哲

日本株の下落トレンドが鮮明に

日本株は「日銀の空砲」で厳しい局面に陥る可能性が高まっています。

前号で「これまでは、17600円が上値の限界とみていましたが、その考えを変える必要があるかは、28日の日銀金融政策決定会合の結果次第になりそうです」としました。その上で、「政策の内容を受けて、強い動きに入るのか、それとも期待外れで本来向かうべき方向に行くのか」としました。

結果的に、期待されていたような、ゴールデンウィークを前にした思い切った政策は出てこず、市場の失望はきわめて大きなものになりました。29日のシカゴ市場の日経平均先物は15800円台まで下げています。

こうなれば、日本株のトレンドは再び下向きになったといわざるを得ません。

市場を混乱に陥らせたブルームバーグ報道

22日の一部報道機関(ブルームバーグ)による報道が、市場を混乱させたことはいうまでもありません。その報道の内容は、「民間銀行が日銀から資金を借りる際、マイナス金利を付与される」というものです。これまで銀行側からは、マイナス金利の悪影響が声高に叫ばれており、日銀が何かしらの新たな政策を導入すると見られていました。

しかし、ふたを開けてみれば、日銀の政策は現状維持でした。これでは、市場はたまったものではありません。一部には緩和期待から株価押上げを想定した買いが入っていたはずです。しかし、それがものの見事に梯子をはずされたのです。誰が悪者かといえば、その報道を流した本人もそうですが、その報道を信じた投資家にも責任がありそうです。

私は報道を信じて取引することはしません。したがって、今回の政策決定会合の結果については、予断を持たずに見ていました。もちろん、ポジションも保有していませんでしたので、痛手は全くありませんでした。とにかく、わからないときや怪しいときには、ポジションを持たない勇気も必要です。

打つ手が限られる日銀、悲惨なシナリオも想定内

さて、これで日銀が打てる手がないことがはっきりしました。次の金融政策決定会合は6月15・16日です。かなり先であり、金融政策により円安・株高に動かすことはできないことになります。そうなると、早いタイミングでの財政出動が必要になるでしょう。

安倍政権は熊本の震災により衆院ダブル選挙をあきらめましたが、消費増税は予定通りに実行すると繰り返しています。このままで行くと、かなり悲惨なシナリオが現実のものになるかもしれません。

29日からゴールデンウィーク(GW)に入りました。GW前後の日本株の動きには特段の傾向は実はありません。

そのため、個人的にはポジションを持たずに、ゆっくりするのが良いのではないかと考えていました。これは、4月22日に出演したラジオ番組『GO!GO!ジャングルマーケット』(ラジオNIKKEI)でもお話した通りです。

しかし、今回の下落で日経平均株価は上昇トレンドラインを明確に下抜けました。下落に向かう可能性がきわめて高くなっているといえそうです。こうなると、「ポジションを取って、下落で利益を上げてやろう」という投資家が増えるでしょう。

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