巨額の財政出動では何の成果も上がらないという現実
岸田政権は発足早々、過去最大となる55兆7,000億円の新たな経済対策を閣議決定し、民間投資分を含めれば78.9兆円という凄まじい財政支出をぶちあげています。
しかし、市場での海外投資家の反応はいまひとつどころではないぐらい、関心を集めておりません。まったくと言っていいほど、響いていないことが見えてきます。
それもそのはずで、新型コロナ感染爆発となった2020年の安倍政権では、実に例年の国家予算の2倍にあたる金額を投入したわけですが、成長を支えることはまったくできませんでした。
菅政権でも、東京五輪の実施を死守したものの、結局は開催した四半期の成長率はマイナス3%超。箱ものの建設以外、経済効果はまったく見受けられない状況に陥っていることが挙げられます。
今回の財政出動でも、5.6%程度のGDP押し上げ効果を疑惑と捏造の殿堂・内閣府が試算していますが、民間の試算ははるかにそれを下回っており、単なる自画自賛にすぎないものとして評価されているのが現実です。
他の主要国に目をやりますと、爆発的な財政出動だけではなく、ポストコロナの産業・経済政策に取り組んでいる国が多くあります。
過去20年以上ほぼ毎年財政出動を行っていながら、なんの成果もない日本のやり口に、もはや興味と評価を示す海外投資家は存在しないことが見えてきます。
政権自ら民間企業に賃上げを強要するのが新しい資本主義?
とくに資本主義国の投資家が見て違和感を感じるのは、岸田首相自らが民間企業に賃上げを要請していること。
最低賃金・月間の労働時間・残業時間などの基本的な枠組みを国が企業に規制するのは、当然ではあるという声もあります。
しかしながら、業態も労働生産性も収益性もことなる業界の企業に対して、一律に賃上げを要請するというのは、民間企業の労働分配率や販管費に政権がクビを突っ込む話になりかねません。
ややもすれば、旧ソ連型の計画経済の遂行さえ感じさせられる違和感を覚えるものにもなっている点は、かなりいただけない状況です。
案の定、企業経営者の反応はさっぱりで、「新しい資本主義」とは古い社会主義計画経済へのシフトなのかとさえ揶揄されるところに陥っています。
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