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「インフルエンザ程度でしょ?」オミクロン株を甘く見ると再び経済停滞へ。海外研究でわかった特性と危険度=高島康司

「脳静脈洞血栓症(CVST)」の増加

オミクロン株の症状と関係があるかどうかはっきりとはしないが、気になる情報がある。

「タイランド・メディカルニュース」などによると、「脳静脈洞血栓症(CVST)」と診断され入院するケースが急増しているのだ。これにはコロナが陽性であっても、症状が軽かったり無症状であったりする人もいれば、オミクロン株の感染が確認された人もいる。

ちなみに「静脈洞血栓症」とは、静脈洞が血栓で閉塞することにより、血液が頭蓋外に出て行きにくくなる病気だ。

脳には静脈洞という特殊な構造をした静脈系がある。静脈洞は脳の中を灌流してきた血液が、頭蓋から出ていく前に、最後に集まってくるところだ。頭蓋外へ出ていく血液の主な出口である。ここが血栓で詰まり、血液が流れなくなる。その結果、頭蓋内圧亢進、静脈性脳梗塞、脳出血、けいれんなどを起こす。患者の多くは頭痛を訴え、なかには頭がぼーっとしたり、初期段階で目の奥が痛くなったりする人もいる。

「静脈洞血栓症」は、コロナウイルスのワクチンの副反応としてまれに報告されている。その意味では、オミクロン株の蔓延拡大にとともにワクチン接種が進んでいるので、その結果として患者数が増えているとも考えられる。しかし発症の増加は、2021年11月のオミクロン株の発生と同時期に始まり、イギリス、ドイツ、そしてアメリカ、シンガポール、タイで発症の増加が確認されている。

いまのところ、「静脈洞血栓症」の増加にオミクロン株の蔓延がかかわっているのかどうかは分からない。しかし「静脈洞血栓症」は、「ACE2」ではなく「ヘパラン硫酸」を受容体として宿主細胞に侵入するオミクロン株で、発症の可能性が疑われる病気である。念のためでも、注意したほうがよいだろう。

次の変異株はアジアから現れる?

このように見るとオミクロン株は、インフルエンザのようなものなので、怖がる必要はないなどと決して安心してはならない。

感染から回復しても長期的な影響が残る可能性だってあるかもしれない。とにかく、マスクをきちんと着用し、適切なソーシャルディスタンスを維持し、過度な社交的活動は制限したほうが無難だろう。

そのようななか、新たな変異株が出現する可能性を示唆する情報もある。インドネシアの研究によると、次の致命的な変異株は、インドネシア、フィリピン、タイ、ミャンマー、カンボジアのいずれかの国から発生する可能性が極めて高いというのだ。

これら東南アジアの国々は、ワクチン接種率がまだ低く、中国製ワクチンやアデノウイルスベクターベースのワクチンなど様々なワクチンが混在し、ゲノム解読やモニタリングが不十分で、HIV、ヘルペス、HPV、結核、デング、マラリアなど他のウイルス・細菌感染も現地住民の間で高率であることから、コロナの新たな変異株が現れる可能性は極めて高いという。

さらに悪いことに、これらの国の郊外では、人々があらゆる種類の野生動物を取引し、食べており、特定の野生生物との距離が近いことも心配される。また、これらの国にはコウモリが多く生息しており、その他にも様々な野生動物もおり、地元の人たちはそれらを食用としている。

Next: 「コロナが季節性インフルエンザ程度になるとはいまのところ言えない」

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