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「インフルエンザ程度でしょ?」オミクロン株を甘く見ると再び経済停滞へ。海外研究でわかった特性と危険度=高島康司

オミクロン株は季節性インフルエンザか?

感染しても軽症で終わることの多いオミクロン株のこのような特徴から、これは季節性のインフルエンザのような株であり、2020年3月から続く新型コロナウイルスのパンデミックが終了する最初の兆候かもしれないという楽観的な見通しも広まっている。

また、オミクロン株の感染が始まった南アフリカや、爆発的に感染が拡大したイギリスでは、感染の拡大がピークアウトし、次第に沈静化しつつある。このような情報から、オミクロン株は怖くないというイメージも広まっている。

しかし、実際に調べると、季節性インフルエンザとオミクロン株との間には顕著な違いがあることが分かる。オミクロン株は季節性インフルエンザよりもはるかに危険なウイルスである。

以下は、それぞれのウイルスで1人が感染させる人数、そして10万人当たりの死亡率を比較したものだ。

1)感染力
・インフルエンザ:1人が1.3人に感染
・オミクロン株:1人が20〜36人に感染

2)死亡率
・インフルエンザ:10万人あたり1.8人の死亡
・オミクロン株:10万人あたり23.1人の死亡

この数値を見ると、オミクロン株は季節性インフルエンザとはかなり異なっていることが分かる。感染力でインフルエンザの15倍から28倍、10万人当たりの死亡者数では、インフルエンザの12倍である。

オミクロン株は、インフルエンザ程度のものではない。危険性ははるかに高いと判断したほうがよい。

気になる南アフリカの死亡者数

ところで、オミクロン株の特性については分かっていないことが多い。

いま世界各国の専門機関で集中的に研究されているので、これからこのウィルスについてはもっと多くのことが分かってくるはずだ。

そうしたなか、オミクロン株の流行がピークアウトした可能性が高い南アフリカで、気になる数値が発表になっている。「南アフリカ産業科学研究会議(CSIR)」の上級研究員、リドワーン・スリマン博士は、南アフリカでのオミクロン急増の数週間後に死亡率が上昇している事実をツイッターで報告した。以下がその内容である。

ここでは、オミクロン株の感染者の状況を5つの項目のデータで示している。

・感染者数:-34%
・検査数 :-4%
・陽性率:-14%
・入院者数:-17%
・死亡者数:+36%

南アフリカはオミクロン株の蔓延がピークアウトしたと言われている通り、感染者数や入院患者数は大きく減少している。

ところが、それにもかかわらず死亡者数は逆に増加しているのだ。いったいこれはなにを意味するのだろうか?

Next: なぜ感染者数が減っているのに死亡率は上昇?気になるデータ

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