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都道府県で明暗。公立高校でのPC「1人1台」宮城県の“原則自費”に批判殺到も、公費で糞スペック強制よりはマシとの声

県立高全生徒がノートPC、あるいはタブレットPCのいずれかを1人1台使える環境整備を目指している宮城県の教育委員会だが、端末は各家庭が購入で補助制度はないと報じられ、ネット上で大きな話題を呼んでいる。

地元紙の河北新報によると、各家庭の出費は周辺機器を含めると1台7万円程度になるとのこと。いっぽうで県教委は、すでに3人に1人に当たる数の端末を調達しており、希望する生徒に無料で貸し出すとしている。

ただ「貸し出し用の端末を低所得者向けにすると、いじめにつながる可能性がある」という懸念から、貸し出す際の条件は特に設けておらず、これでは購入という原則が崩れる懸念も浮上しているとのこと。さらに、仙台市内の教育団体からは「端末を公費で導入すべきだ」という声もあがっているという。

学校か保護者か…負担を巡り都道府県の対応はほぼ半々に

「GIGAスクール構想の実現」との掛け声のもと、小・中学校においては“1人1台端末環境”がほぼ実現されつつあるものの、それに対して遅れをとっているとされるのが、高校における端末の普及だ。

関係省庁としても、早期の普及に向けて躍起になっているようで、今年1月には学校設置者である自治体や保護者などに向けて、“1人1台端末”の重要性や達成への協力を訴える「高等学校における1人1台端末の環境整備について」というメッセージが、文部科学大臣の末松信介氏とデジタル大臣の牧島かれん氏の連名で出されたばかりだ。

ただ、文部科学省が公表している47都道府県別での端末の整備状況をみてみると、昨年までに整備済みなのは13自治体のみ、今年1~3月までに整備されるのは6自治体にとどまる模様。いっぽうで残りの都道府県だが、令和4年度中に整備される予定なのが5自治体、令和5年度中予定が3自治体、令和6年度までずれ込む見込みの自治体は20にものぼるという。

この都道府県ごとの整備時期の遅速を左右する大きな要素とみられるのが、端末整備に掛かる費用を設置者(自治体)が負担するのか、あるいは保護者が負担するのかといった違いだ。

今年1月にNHKがこのことについて報じた段階では、まだ方針を決めかねている都道府県も存在したこの件だが、先述の整備状況によると、最終的には設置者が原則負担する都道府県が24に対し、保護者負担を原則とする都道府県は23と、対応がほぼ真っ二つに分かれる格好に。なお、先ほどの整備状況で紹介した「すでに整備済み」「今年1~3月までに整備」の都道府県は、すべてが設置者負担を原則としている都道府県だ。

ちなみに今回の報道で取沙汰されている宮城県だが、今回の報道通り原則保護者負担で、整備が完了するのは令和6年度の予定だという。この宮城県をはじめとして、今後整備を進めていく都道府県は、保護者負担を原則としているところばかりなため、各家庭への家計負担を考えると、計画のピッチをあげることは容易ではなさそうである。

義務教育ではないから各家庭での購入は当然?

とはいえ、そもそも保護者の立場に立てば、住んでいる都道府県によって無償であったり数万円の実費が必要だったりするという“負担の格差”が存在するというのは、なんとも納得のいかない話ではある。

それゆえにSNS上では「公費で整備するのが当然」といった声も多くあがっているのだが、その反面で小中学校とは異なり、高校は義務教育ではないということで、各家庭による購入に理解を示す意見も見られる状況だ。

さらに、小中学校におけるノートPCやタブレットの普及においては、子どもの学習向けのものとはいえ、信じられないほどの低スペックマシンを、結構なお値段で買うことを学校などから強いられたという話も多く聞かれただけに、そういったことになるなら適正なスペックのものを自分で用意する方がまだマシ……といった見方もあるなど、その反応は様々といったところだ。

すでに整備の済んだ地域に住む方はともかく、これからだという都道府県にお住いの高校生の子どもを持つ方々にとっては、今回報じられた宮城県での問題がそのまま自らの身にも降りかかることになるだけに、今から何かと覚悟をしておいた方が良さそうである。

Next: GIGAスクール構想自体がすでに時代遅れ?

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