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「高くて激マズ」北京五輪の食事で露呈した中国衰退と財政危機。人工雪で「貴重な水」を失う“異常政治”=勝又壽良

<(2)選手村や報道陣の食事内容が粗末で値段が高い>

選手村や報道陣の食事内容が粗末で高いことは、端的に予算不足を示している。もっとはっきり言えば、中国当局は、経済的に食事まで気を配る余裕がなくなっていることだ。韓国紙『ハンギョレ新聞』は、食事の粗末さと値段の高いことに不満を漏らす記事を掲載した。

「メインメディア・センター(MMC)構内のレストランでは、ロボットが直接食事を作り、給仕までして話題になった。ところが、すでに参加者の不満は尋常ではなくなっている。値段は高く食事の味は劣るからだ。あまりにひどく、昨年夏の東京五輪の際、競技場の各所に置かれていたピーナッツサンドイッチが恋しくなる」と、意外なところで東京五輪の気配りの良さを指摘するほど。

どこが不満なのか。それは次の記事が示している。

豚肉丼を55元(約1000円)支払い購入した。<中略>ご飯の量が多かった。問題は、肉が極めて少ないという点だ。その肉も赤身はほとんどなく、骨が半分以上だった。おかずはザーサイだけだ。ロボットが作ったためか、良心がないという考えが自然にわき上がってきた。この程度のご飯と肉は、言うならば、900ウォン(約90円)のおにぎり2個程度の量が出てきたようなものだった。

※出典:[北京ルポ]ロボットが作った正体不明の丼物には良心がなかった – hankyoreh(2022年2月5日配信)

上記のように厳しい。つまり、豚肉丼は暴利を貪っているという批判である。不満はまだある。

この記者は、ホテルに帰って85元(約15,00円)の日本式鰻丼を注文した。ご飯の上に鰻の蒲焼きが乗ったものでなく、「鰻の混ぜ飯」であった。メニューの「日本式鰻丼」とは全くの別物。北京市内の競技場で働く中国人ボランティアは、「北京の物価を考慮しても、記者に売る食事はあまりにも高い」と述べたという。ホテルも、ぼっているのだ。五輪取材記者から荒稼ぎすれば、自国で報道されることなど念頭にない。儲ければ、それでいいという刹那主義である。

選手村の食事も酷いようである。「選手らはビュッフェスタイルの選手村食堂を利用するが、食べ物の質はそれほど良くないという。ほとんどの食べ物が脂っこく、韓国人の口に合わないため、まともに食事をできなかったという。北京に到着した日の夕食に選手村の食堂を訪問してから一度も行っていない選手もいる」(韓国紙『中央日報』報道) 韓国は、選手村に韓国弁当を配っている。選手村食堂を利用しない選手は、この韓国弁当を食べているのであろう。

中華料理は、世界3大料理の1つとされている。「フランス料理」「中華料理」「トルコ料理」がそれだ。いずれも、宮廷料理として発展したとされる。その名誉と伝統を受継ぐはずの中華料理が、メディアセンター・ホテル・選手村のどこでも惨憺たる批判を浴びている。

この背景に何が起こっているか。これこそ、隠された「中国病」の原因へ辿る道である。

五輪予算が圧縮される

最大の要因は、中国が冬季五輪開催に当って予算不足に直面していることだ。予算が十分にあれば、遠来の客をもてなすという中国の習慣から言ってあり得ないことが起こっている。

中国の中央政府はもともと、口は出しても金を出さぬと言う面がある。最新の公式発表によると、省・市・県レベルの政府は、中国の教育・医療・住宅プロジェクトへ財政支出するが、それぞれ80%(教育)、70%(医療)、60%(住宅プロジェクト)超を賄い、残りを中央政府が支出するもの。

つまり、国民生活に関わる必須費用の過半は、地方政府が分担しているのだ。中央政府は、口だけ出して金を出さない姿がよく見えるのだ。

この伝で言えば、北京冬季五輪の費用は過半が北京市負担であるのだろう。その北京市財政は現在、財源不足でてんてこ舞いのはずである。不動産バブルの崩壊で地価が値下がりし、国有地の販売益が急減しているのだ。北京市も公務員給与の2~3割の大幅カットをしているに違いない。他都市が、一斉に踏み切っているからだ。

こうなると、北京市は背に腹は変えられぬ。五輪大会の費用も大幅にカットしている筈だ。選手村や報道陣へ、美味しく安い食事を提供できる予算がなくなっているのだろう。

五輪史上、北京市の財源不足が最悪かも知れない。

Next: 崩れだした中国の「土地本位性」

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