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オシャレ家電の代名詞、バルミューダのスマホがSNSで大酷評。それでも想定以上の売上の理由とは?=シバタナオキ

観点#3: 開発費は営業利益の56%を投入

バルミューダは工場を持たないファブレスメーカーであるため、スマホの開発はデザインとUI、独自アプリの開発、また広告宣伝費に投資したと考えられます。通期営業利益15億円に対して、R&D費用11.4億円であり、そのうち、8.4億円(営業利益の56%)を携帯端末関連事業に使ってます。

営業利益率は、2021Q3(2021年7月-9月)は一時的に赤字となっていますが、2021Q4(2021年10月-12月)には大きく回復しています。Q3で一時的に赤字になった原因は、携帯端末事業関連の試験研究費をはじめ販管費が増加した為です。

携帯端末関連事業は他の家電事業と異なり、ソフトウエアの継続的なバージョンアップや次期モデルの開発のために多額の費用が必要となります。一定以上の数を継続的に売り切らないと、携帯端末関連事業はビジネスとして厳しくなります。

観点#4: BALMUDA Phoneの販売を支えた存在

BALMUDA Phoneの販売パートナーとして、ソフトバンクが独占販売をしています。ソフトバンク以外では、バルミューダ直営店からも購入でき、ソフトバンクの「キャリア市場」とバルミューダ直営店等から購入する「SIMフリー市場」の2つが市場として存在します。

MM総研の調べによると、2021年上半期に発売されたスマートフォン全体の83%がキャリア市場で販売されています。BALMUDA Phoneの販売台数をこの比率に当てはめると、

販売推定数:2万7,000台
ソフトバンクの販売台数 :2万2,410台
バルミューダでの販売台数: 4,590台
参考:「2021年度上期 国内携帯電話端末の出荷台数調査」-株式会社MM総研
https://www.m2ri.jp/release/detail.html?id=526

と推測されます。この数字は、決算書の売掛金の項目からも推測されます。
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出典:2021年12月期 決算説明会(2022年2月10日)資料

2021年の売掛金は53億2,100万円でした。前年度の売上高との比較からソフトバンクへのBALMUDA Phoneの売掛金を以下のように推測しました。

・2020年Q4の売上:44億8,900万円
・2021年Q4の売上:72億9,300万円
売上として前年比62%アップしています。
この数字から
(1)2021年末の携帯端末以外の売掛金 :36億9,000万円<22.78億(前年度売掛金)*1.62>
(2)携帯端末の売掛金(ソフトバンク):16億3,000万円(定価の6割の仕入れ値として約2.6万台分)<今年度売掛金 – (1)>

売掛金の推定値も推定販売台数から妥当であり、ソフトバンクが販売を支えていたことが推測できます。バルミューダの決算上の売上は、ソフトバンクに出荷した時点で計上されており、実際にユーザーに販売された数字ではない点に注意が必要です。

これらの数字から、BALMUDA Phoneの後継機が成功するか否かは、ソフトバンク次第ということも読み取れます。

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