富裕層から多くの財産を奪えばよいという国策か?
かつて敗戦直後の「資産課税」では、預金だけでなく株式・不動産・債券・ゴールドに到るまで、資産額に応じて25%~90%もの高率で課税し、富裕層を没落させました。
敗戦後のインフレ鎮静化が目的でしたが、結局インフレは収まるどころか、ハイパーインフレになって国債は紙切れ同然になったのでした。
1946年の資産課税実施時の税率を、現在の価値に置き換えると(500倍で計算)、5,000万円の純資産保有者で最低税率の25%、1億円の純資産保有者で55%、10億円の純資産保有者で65%、75億円の純資産保有者で90%といった水準になります。
つまり、当時の富裕層は3割近くから9割に及ぶ財産を没収されたわけです。
「資産課税」で困るのは富裕層。ハイパーインフレで全国民が困窮へ
ものすごく高く見える税率ですが、ハイパーインフレになって、物価が50倍から100倍に跳ね上がれば、純資産も50分の1から100分の1に減るも同然なので、資産課税のほうがハイパーインフレになるよりはまだマシだったのです。
しかし、戦後の4年間だけでも、日本の物価は140倍になっています。
つまり、当時は高率の「資産課税」を行ったうえに、ハイパーインフレが襲ったため、富裕層の打撃はダブルパンチで大きかったのです。もちろん、一般国民もハイパーインフレでは大打撃でした。
しかも、この資産課税だけでは、当時のGDPの200%にも上った戦時国債という借金の帳消しに十分ではなく、結局、戦時中に乱発した国債はハイパーインフレでチャラにしたのが実際のところだったのです。