fbpx

台湾と日本が「次のウクライナ」に。露呈した米国と国際機関の無力、他国任せでは国民を守れない=斎藤満

国際機関の無力を確認

このロシアの侵攻に対して、国連など国際機関の無力性が露呈しました。

国連の基本精神は、国家間の対立を戦争によって解決することがないようにすることでした。ところが、国連安全保障理事会の常任理事国のロシアがこれを踏みにじったわけで、しかも両国の対立というより、ロシアの一方的な論理で侵攻に出たわけで、この「戦争犯罪」も裁けない国際機関の限界を露呈しました。

国連のグテーレス事務総長は先週、自らモスクワ、キーウを訪問し、プーチン大統領、ゼレンスキー大統領と会談しましたが、解決の糸口はつかめませんでした。このままでは国際機関による調整ができないため、トルコなど一部の国が仲介して停戦を模索しています。

しかしそこにも個別の利害関係が錯綜しているだけに、調停は容易でなく、最後は武力による決着に任せることになりかねません。

ロシアがこれに失敗すれば、中国もしばらく動きにくくなりますが、もしロシアが狙い通りにウクライナの南東部など一部でも奪回し、さらにモルドバやバルト3国にまで侵攻を広げれば、「力による現状変更」がまかり通ることになり、中国も力で領土拡大、覇権拡大に出る糸口になります。

そうなると、中国による台湾進攻が現実味を帯びてきます。

恐らく米国は、立場上台湾を支持すると言いながらも、ウクライナ同様、直接軍事行動を起こすことはないと見られます。そして国際機関も中国を止められないと見られます。

日本の周囲に領土的野心を持つ国が2つ

米国のプリンケン国務長官、オースティン国防長官は、4月24日にウクライナの首都キーフを訪れた後、40か国を集めてウクライナ支援策を検討しました。そして米国はロシアの「弱体化」を望むと発言しました。ロシアの侵攻作戦が失敗に終われば、ロシアの弱体化とともに、中国も無理な侵攻が困難になります。

問題は、ロシアが力でウクライナを制圧した場合です。その場合、力による現状変更が、ウクライナ、台湾だけで済むのか、ということになります。

政治経済力で力が落ちている日本にとっても、「隣国」には、2つの領土的野心を持った国があります。

隣国ロシアは北方領土・北海道に、中国は尖閣諸島・琉球(沖縄)に関心を持っています。日本の政治外交力が弱いと見れば、口実を作ってでも日本侵攻に出るリスクはゼロではありません。

Next: 米国軍は命を懸けて日本を守るか?安保条約が防波堤にならない可能性

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー