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台湾と日本が「次のウクライナ」に。露呈した米国と国際機関の無力、他国任せでは国民を守れない=斎藤満

21世紀にもなって武力による侵略があり得るという、ひどい現実を見せつけられたロシアによるウクライナ侵攻。中国・ロシアという「領土的野心」を抱えた隣国を持つ日本は、米国を“防波堤”にできない可能性が高いこともわかりました。日本人は今後「戦争は起こりうる」という覚悟を持って生きる必要があります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年5月2日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

力によるロシアの現状変更

今回のロシアによるウクライナ侵攻事件は、21世紀の今日においても自由主義を取る特定の国に対して、領土的野心を持った隣国が武力による侵攻を強行することがあることを示すことになりました。

今回のロシアのように、武力による侵攻により、一部ないし全部を征服し、侵攻国はその後に傀儡政権を樹立しようとします。

武力ではウクライナに対して圧倒的優位性を持つロシアが、西側のウクライナ支援によって予想外の苦戦を強いられていますが、30日には南部の拠点オデッサの空港をミサイル攻撃し、空路によるウクライナ支援の道を封鎖しました。

ロシアは少なくとも南東部の実質支配を固めようとしています。

ロシアはNATOの東進により、ロシアの安全保障が脅かされていることを理由に侵攻しましたが、NATOが直接ロシアに危害を加えたわけではなく、むしろロシアは旧ソ連の国土を回復しようとの「領土的野心」が色濃く見えます。

そしてロシアはウクライナに対して武力による現状変更を強行し、民間人を多数犠牲にしての侵攻となったため、一部の同盟国を除けば、ほぼ世界を敵に回しました。

米国の脅威がなくなった

それでもあえてロシアがこの侵攻を実行に移した背景には、米国バイデン政権が自ら「米国は軍事行動には出ない」と宣言したことがあります。

ロシアにしても中国にしても、常に米国の出方をうかがっていました。チェチェンやグルジア(現ジョージア)への軍事介入は国内問題として米国の動きを無視できましたが、自由主義をうたう独立国ウクライナへの侵攻ではそうはいきません。

特にウクライナは安全保障面からNATOへの加盟を望み、西側陣営の一員でもあるだけに、西側のリアクションを意識していたはずで、特に米国の反発を恐れていました。ところが米国が軍事行動に出ないことが確認されたので、ロシアは怖いものなしとなり、白昼堂々とウクライナを侵攻する結果となりました。米国の姿勢がロシアの決断に大きな役割を果たしたことは間違いありません。

Next: 国際機関は役に立たない。日本の周囲に領土的野心を持つ国が2つある

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