18日のアメリカ相場は上髭下髭のない大陰線の大幅安。出来高が少ないけれど値段以上に弱い、最悪の引け味の下げになった。金融引き締めへの警戒感が再燃したところに、米小売大手「ターゲット」がコスト上昇による決算悪化見通しを発表。マーケットは「インフレの負の部分」(コスト上昇による企業収益の悪化)に直面せざるを得なくなった。価格上昇と景気悪化という「スタグフレーション的な動き」を警戒してのリスクオフが株価を一方的な下落に導いたといえる。
(『新天地の株式投資日記』)
※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年5月19日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。
プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。
NYダウ、終値としては今年最安値に
NYダウ:3万1,490ドル −1,164ドル(−3.57%)
NASDAQ:1万1,418 −566(−4.73%)
「アメリカ人、楽観的だから下がったら買っちゃうんですよね」がまったく発生しない日中足。ど安値引けの大陰線になった。NYダウは終値としては今年最安値。

アメリカ国債10年利回り 日足(SBI証券提供)

アメリカ国債5年利回り 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日足(SBI証券提供)

NASDAQ 日足(SBI証券提供)

NYダウ 日中足(SBI証券提供)

NASDAQ 日中足(SBI証券提供)
金融引き締めへの警戒感が再燃、「魔の水曜日」で大幅安へ
18日のアメリカ相場は上髭下髭のない大陰線の大幅安。出来高が少ないけれど値段以上に弱い、(むしろ出来高がない分、あく抜け感がなくて)最悪の引け味の下げになっている。今週はアメリカのSQ週なので「魔の水曜日」になってしまったことになる。
(筆者注:SQ週は先物オプションと現物を組み合わせたポジションが解消されることが多いのだが、SQを待たずに、2日前の水曜日に反対売買してポジションを解消するプレーヤーも多く、SQ週の水曜日は上にも下にもボラが出やすい傾向がある。これを称して「魔の水曜日」と呼ぶ。昨晩みたいに下げる時もあるし、逆に大きく上げる時もある。あくまでボラティリティが極端に高くなる時がある日と覚えてくださいな。日本も同様。)
パウエルFRB議長が「中央銀行が云々」と火曜日にマーケットに「警告」した件、火曜日はあくまで一般論だし必ずそうするわけでもないよね、っていうことで火曜日は上げ直したものの、 昨晩水曜になって改めてパウエル発言について「警戒感が強まった」。
そこにきてアメリカ小売の大手一角「ターゲット」の決算がコストの上昇による決算悪化見通しを発表。マーケットは「インフレの負の部分」(コスト上昇による企業収益の悪化)に直面せざるを得なくなった。価格上昇と景気悪化という「スタグフレーション的な動き」を警戒してのリスクオフが株価を一方的な下落に導いたといえる。
先週後半までの歴史的な週足の連続安をみての反動高、さらに堅調な小売売上げ高をみて火曜日にリバウンドの動きが出ていただけに綺麗に顎にカウンターパンチが入ってしまった。
さらにとどめがシスコ。シスコは引けた後に決算。シスコによればウクライナ戦争や中国の都市封鎖の影響などの影響で4〜7月の売上は1%から5.5%の間で減少する見込みとした。コンセンサスは6%近い上昇と考えられていたので、もうこれは「シスコショック」を起こしても不思議じゃない。シスコはざら場4.4%安で引けた後、期間外で13%以上下げていて合わせて18%くらい下げた計算になる。
ダウ先物も終値からさらに100ドル以上さげてるね。
最優先すべきは大怪我を避けること
歴史的な日足の連続安・週足の連続安・月足の連続安は、相場の大底や大天井で起こるとギャンは記す(ギャンは数百年にわたって過去の商品先物の記録を調べてそう結論づけた)。
こういう場合、最優先すべきは大怪我を避けること。ポジションを大幅縮小するのは間違いではない。あくまで一般論だが。
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